ロックバンド 雨のパレード 4th フルアルバム『BORDERLESS』レビュー
いつもご拝読ありがとうございます。
どうも、傍観梟(ぼうかんふくろう)です。
まえがき
なかなか自信や、勇気が出せないこととかってありませんか?
どうしよう、うまくいくかな?
右見たり、左見たり迷って。下を向いてうつむいてしまったり。
何か確かなものを見つけたい。
少しでも一歩だけでも足を踏み出したいと思っているアナタ!!!
今月、1月22日に発売された雨のパレードというロックバンドの『BORDERLESS』というアルバムがそんな気持ちが迷子になっているアナタの手を引いてくれるはず!!!
はい、そうです。今回は、スリーピースロックバンド 雨のパレードの新作 4枚目のフルアルバム、『BORDERLESS』レビューをしていきたいと思います!(笑)
目次
- まえがき
- 『BORDERLESS』
- 『Summer Time Magic』
- 『Story』
- 『Walk on』
- 『Trust』
- 『惑星STRaNdING(ft.Dos Monos)』
- 『Hallelujah!!』
- 『EXIT』
- 『Gullfoss』
- 『Material』
- 『Ahead Ahead(new mix)』
- あとがき
-
『BORDERLESS』
今回のアルバムの表題曲です。
イントロから「Oh...Oh...OhOh.....」という掛け声クラップ、ドラムの力強いビートで始まるまっすぐに勢いのある楽曲。
シンセサイザーの強調、ビートとメロディーの合わせ方と複雑過ぎないアレンジで、今までの楽曲よりオープンで開放感がすがすがしい。
更に、ボーカル、福永さんの歌唱の表現力が新しくアップデートされていた。
歌い出しでは、キャッチ―なメロディーの繰り返しで淡々と進んでいくがあっという間にサビに入る。がしかし、その手前に、歌は少し弱弱しく歌い上げる。
そこから、サビに入り、叫ぶような、まさに訴えるように言葉の伝わりやすいメロディーであった。
それなりの声量がなければこの表現はできないが、リズムのとり方が話すような歌い方、発音が聴いていてとても心地が良く、アルバムの一曲目という選曲としては完全にリスナーの聴きたいという気持ちにさせようとしていることが伝わってくる。
・歌詞について
背中を押すメッセージ性の詰まった詞。
自分の限界、へこんだり、つまづいたいりしてきた、誰でも経験すること。
それに対し、
”迷いながら あなたの足でここまでやってきた”
というそれまで、自分で決断してきたでしょ? 教えてくれる。”前を向いて 胸の傷だって ねえ、生きてきた証”
という歌詞では、傷付けられたこと、失敗でも受け入れなよ! 生きてきた証だと。
最後には、
"今までのこと全てに 意味を持たせてくれる"
世界は広く、キミの知らない世界がある。
それらは、キミの今までの傷、悔いにも意味がある。と生きていく意味をここまで具体的に示している。
とても、辛いとか、人生にあくせくしている人に聴いて欲しい。
”顔を上げて 明るい未来へ”
-
『Summer Time Magic』
先行配信シングル。
アルバムの中で一番アップテンポでダンスミュージックな楽曲。
シンセ、ビートのボリュームが徐々に上がっていき、サビではシンセのエコーが印象的でまるで飽きを感じさせない間のとり方が巧みだと感じる。
この楽曲で聞き逃してはいけないが、ベースの低音です。
見事に曲の転回のリードをしている。サビに入る手前に ”~♪ ベン” と印象的な入りをし、サビまでの助走のワクワクを誘っている。このベースの低音が入っていなかったらサビはスカスカに聴こえてしまうだろう。
・歌詞について
ひと夏のもどかしい恋。
好きな人と二人でいて、彼女ははしゃいでいる。この一時がずっと続けば良いのに、と。その感情、
”寄せては返すはかない恋”
と歌い、もどかしい感情を表していてとても素敵な詩的表現で福永さんの詩センスには改めてグッときました。
個人的に好きなところがあるのですが、
”波の音が無言を埋める”勇気が出せず言い出せない状況に”波の音が無言を埋める”ともどかしさを表現していてついこの曲の主人公を応援したくなる。
そして、最後まで主人公は癒えたのか癒えていないのかわからず曲はフェイドアウトしていき、歌詞の物語の先が気になるとともに曲ももう一度聴きたくさせて癖になります。 -
『Story』
ウェディングソングといってもきっと間違いは無いでしょう。
ロウで浮遊感のあるドリームポップ。
テーマになっている、思い人との関係性を大事にしているということをところどころ必死さを感じさせる福永さんの歌唱の表現はすっごい。
まるで、本当に二人の思い出を思い出しているようで、嬉しいを悲しんでいる。
・歌詞について
結婚式がテーマ。
2人の思い出、式の情景を想起させる言葉選び、まるでその当事者であるかのような、想像をさせる。正直、どれをとっても素敵な文字列ばかりなので選びきれないのです。
特に気に入っているのが、
”愛し方もすべてあなたと覚えてきた”
”この胸の鼓動が続く限り
いつまでも同じ変わらない愛を”それまでの経過の情景を想像させ、事の大切さ。そして、これからも歩んでいこうとしている。
なかなか思ってもこの言葉選びを生々しく言えないと思う。それを、平然と歌っていて心に染みる。 -
『Walk on』
アメリカの80年代のダンスミュージックを雨のパレードの癖でアレンジされた感じの楽曲。
テンポは上がり過ぎず、下がり過ぎずで調整されており、アルバムの4曲目として無難な選曲だと思う。
ドラムの反響のさせ方、シンセが時代を感じさせるが、音の多さに現代音楽、日本のメジャーシーンにぴったりはまり易くなっていて、むしろ新しい。
流れ的には曲の長さは3分と少しで長すぎないのが、ちょうどアルバムの折り返し地点の曲になっている。
・歌詞について
ちょっと連想させられのは、彼らの『Tokyo』という楽曲のアンサーソングであること。
街に上京してきて変わろうとしていたのに、場所じゃなくて、自分であったという事。
自問自答的。成長過程という事を歌い、
”ただ一歩一歩踏みしめてく この足で今歩いてる” -
『Trust』
『Story』とともに同時の先行配信シングル。
雨のパレードらしい電子音、ベース、ドラムの音が複雑に絡み合い、それにボーカルのささやくような歌い方が異常な一体感を生む楽曲。
折り返し地点を抜けて、この楽曲で始まることによって、アップテンポな曲調がアルバムの後半を聴かせる効果を生むことに成功していると思う。
・歌詞について
メッセージ性の高い楽曲の中で深すぎない言葉選びではないが、直球な言葉でわかりやすい。
”満たされない世界を 睨むだけじゃなくて ドアを開いて飛び出せよ”
”目を開いて恐れを捨てて あの日願ったままの未来へ走り出せ
声を出して不安を超えて 風のようにはるか向こうへ突き抜けろ”
迷ってないで進め、とはっきりと言ってもらえて、メロディーのアップテンポも相まって前進できる気になれそうですね。 -
『惑星STRaNdING(ft.Dos Monos)』
福永さんの癖の強いヒップホップのジャンル、*1トラップミュージックです。
海外でも人気のある3人組ヒップホップグループ、Dos Monosとのコラボです。
なかなか雨のパレード名義でこの楽曲をシングルで出すには難しいが、アルバムだからこそ発表できるもので、福永さんの様々なジャンルが好きという事が現れています。
過去にも、『Ahead Ahead』収録の『Hometown』でもDos Monosとコラボしており、2回目のコラボです。
Dos Monosのラップから入り、福永さんがコーラスと歌唱を行い、世界観を異次元感と、アレンジのぼんやりとした世界観がラップの攻撃的な言葉を引き立てています。
・歌詞について
ラップなので、特に、言葉に注目されるジャンルです。
しかし、やはり韻の踏み方、発音の仕方が気分を表現するのでビート感が心地良いですね。
タイトル通り、惑星=地球のことをさしていると言えるでしょう。
その生まれたところで、
”広大な箱庭与えられたけど”
”上も下もない世界 ここじゃ誰が一番偉い?”
当然に生きている現実の”ココ”とはなにか問うていて、考えさせられる面白いリリックでリズムだけで聴くのと一緒に意味を考えてみるのも音楽の新しい部分を知れるんじゃないかなと思う。 -
『Hallelujah!!』
一番シンプルで落ち着いた楽曲。
イントロから印象的な音が鳴っていますが、サビではなくなり、ボーカルが強調されて聴き入らせられて、アルバムを通して、一番アートロックらしい曲だなと感じさせられた。
・歌詞について
”何に祈ればいい? 誰を愛せばいい?”
シンプルな言葉で問い続け、最後に結論をさらっと歌っていて、ここにきて多くを語らない歌詞にはかっこいいなと思った。 -
『EXIT』
そしてまた音の情報量と若干暗い世界観を表現しドラムの音にドキドキさせられる。
ノイジーな音の過ぎていくような音が不安を招き、耳をつかんでいる。
・歌詞について
アルバムの中で一番明るくはない表現が多いです。
若干、逃避行なことを言っていて、ああ、そうか、アルバムの終わりが近いのかと気付かされる。
”このまま深い穴の底を覗こう
指先まで伝わる早い鼓動 夢の中へ 夢の中へ 夢の中へ 夢の中へ”
”少しずつ 時間の流れ歪み
気が付けば やけに長い廊下”
ここまでの曲の中で一番暗い歌詞だと思う。
孤独感、閉鎖感、無抵抗なさまがちょっと歌詞の方向性にどうした(!?)と思わされたが、しかし、これも福永さんにはこんな表現もできるのかとアーティストを』追及しているんだと意気込みさえを感じた。 -
『Gullfoss』
ボーカル、福永さん自身が好きだと公言するアイスランドの*2チルウェイヴロックバンド ”Sigur Ros”の世界観を福永さんがボーカルをとったような楽曲です。
しかし、ジャンルは ((Sigur Ros:シガーロス。アイスランドのチルウェイヴ、ッ環境音楽というジャンルがメインのロックバンド。アイスランド出身もあり、寒いという感覚、世界観を音楽で最も表現しているロックバンドだと、僕は個人的に思っています。ボーカルのヨンシーの高音ボーカルと、浮遊感と独特な流れるようなメロディーが特徴的。”Sigur Ros” 的だけど、福永さん自身に合わせ、音を高すぎないようにしている。
十分に世界観の表現が落ち着いていて”Sigur Ros”へのリスペクトをとても感ぜられた、まさに今の寒い冬に聴きたくなる楽曲です…!
・歌詞について
曲の世界観が固まっていて、その上で一番歌詞の少ない曲のため、言葉に深みを余計に感じさせられます。
しかし、端的に2つの文で完結させて、
残りを8つの意味深な単語が羅列し、やはり、具体的に何なのか知りたくなる。
面白いのが、その8つの言葉がすべて、母音『イアイ』で、韻を踏んでいるという言葉を選んでいるところです。
一体それが何をさしているのか…?
参考までに”Sigur Ros”の視聴もどうぞ。 -
『Material』
ヒップホップ系のアレンジの曲。
福永さんのリズム感のあるボーカルが、この楽曲では女性ヒップホップシンガーiri(イリ)さんのような表現を感じた。
この曲を平然とアルバムに入れてくるという事はかなりの自信があるという事がうかがえる。
個人的には、シングルのカップリングに入れる方があっているのではないか? と思ったが、しかし、シングルとしても十分が曲の転回を感じた。これからもヒップホップ系の音楽も続けていった欲しいと思った。
・歌詞について
特に語感で作詞されている曲だと思う。
しかし、世界観もちゃんと見えてくるのがボーカルの表現が巧みな為だ。
是非この楽曲の言葉の選び方がどう面白いのかはアルバムを購入して感じて欲しい。 -
『Ahead Ahead(new mix)』
オリジナルの『Ahead Ahead』がアルバムバージョンとしてアレンジされた楽曲です。
オリジナルを知っているうえでこれを聴くと衝撃です。
まるでオリジナルとの魅力が違う。
詳しく言うと3点あります。
1、オリジナルの曲の元々あった曲のそれぞれの音量の調整。
2、音のクリアさ。
3、それぞれの音の反響具合がまるで違う。
です。
まったく印象が違った印象を受けた。奥行きがまるで違います。ボーカルの加工も変えているだろう。
また、歌の反響の仕方と耳への届き方が違い、声が強調されている。
オリジナルだとイントロのギターとほぼ同じくらいの音量だと思う。
他の演奏の音量も、元々ドラムの音も強かったけど更に際立っている。
それから全体的にオリジナルより幻想的な楽曲になっていて、雨のパレードはクリエイターだなと感じさせられた。
・歌詞について
”Ahead”=先へという意味。
タイトル通り、前に進んでいくという事。この物語や経験の経過をさしているような表面的な言葉選びがリスナーにも重ねやすい歌詞。
”あの高く飛ぶ鳥のように Ahead Ahead(先へ、先へ)” ”もう迷わない僕たちは Ahead Ahead”
先行シングルで出ていた曲のnew mixとして最後に入っているが、前半の2曲に通ずる歌詞であり、その曲の歌詞たち結論のように”先へ”と歌っているのがこのアルバムを最後のこの曲で完結させるという機能に働いている。
更に、最後にこの曲が来ることによって、彼らのこれからを見させようとしている。”先へ、先へ”と。あとがき
以上、『BORDERLESS』の全11曲のレビューでした。
勇気が出る全力で背中を押す楽曲が多かった。
アナタはどうでしたか? 背中を押してくれそうな楽曲はありましたか?
それでは、以下は総合の感想を言っていきたいと思います。アルバムの序盤はメジャーシーンに合ったリズム、メロディー、ハーモニーの曲があり、後半はメジャーシーンの楽曲というには離れたジャンルのヒップホップ、チルウェイヴを混ぜており、変化の面白い曲順でした。
その後半に来た楽曲の殆どは、普通ならシングルのA面に来ないような楽曲で、しかし、良い曲ばかり。
この、変化球的だけど、前半で盛り上げて後半のジャンルに興味を向けさせようとしていて、実際、新しいジャンルを知らせることができたんじゃないだろうか。
どれも、くせ者的な曲があったが、やはり、雨のパレードの性格が出ており、ただ、前半の曲は一般的に王道なジャンルであるだけで、後半は雨のパレードにとっては彼らのルーツの楽曲として王道な曲であったのだろうと言える。
今後、このような楽曲たちがアルバムの前半に組み込んでくるのか、日本の音楽シーンと成長が楽しみだ。アートロックバンドらしい曲順だが、変化球過ぎて驚かされた。多ジャンルを入れ込むことにより、「同じ曲じゃん」と新規リスナーを飽きさせないと思う。
それは、彼らの戦略か否か。
少なくとも、もともとファンであった者たちを確実に更に引き込ませたことは間違いないはずだ。
雨のパレードとしての変化は、とにかく、元々の個性のスケールを大きくしていて、表現のスキルが上がっていた。
雨のパレードのメジャーシーンへ向かってまだ知られていないジャンルを見せつけ、それがどれくらい知られていくのかが改めて、楽しみだ。
雨のパレードをきっかけに、様々なジャンルを知っていってほしい。[通常版]
[完全生産限定盤]
[iTunes]
音楽は広いぞ。
だから、僕はずっとその荒野を追いかける。その景色を是非、アナタにも見て欲しい。◆雨のパレード入門オススメアルバム
様々な種類のジャンルと世界観の表現の仕方をし、
収録曲どれもイントロからキャッチ―で最後まで味わい深い楽曲ばかり。その中から必ず一曲は好きな曲を見つけられるはずです。
また、もし今回の記事で気になったこととかありましたらコメントを頂けると嬉しいです。
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以上、傍観梟でした!
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