Vaundy『Strobo』レビュー
Vaundy1枚目のアルバムらしい。この完成度には驚いた。
てことでニューウェイブで癖の強くて新たなポップシンガーのVaundyの初のアルバム『strobo』のレビューをしていきます。
1.Audio 001
インストの曲。Vaundy本人の「ただいま」で終わって次の曲に繋がる。
素朴感のあるこもった声がアルバムの入り口としてよくあっていることと次の曲の空気感にマッチしていると思う。
2.灯火
ドラマ、『東京ラブストーリー2020』の主題歌。
軽いギターのメロディが複数が重なっていてきらきらとした空気感を感じる。
だけど、なぜか素朴感がある。
特にキーが高いわけでは無くて、同じメロディが繰り返し、メロディは上がっていくけどふっとメロディが戻って、高揚感が上がり過ぎないで余韻が残る。
歌のボーカルのささやくような歌い方と、空気を含んだ確かな声量のある広さを感じる声だからか俯瞰して物語っているのがどこか都会の景色を思わせる。
サビではエド・シーランの『Castle on the Hill』のサビの盛り上がり、開放感を感じた。
歌詞もちょっとどこか悟った歌詞で好き。
ギターのカッティングと繰り返しのクセと歌声にもちょっとエド・シーランを連想した。
3.東京フラッシュ
ちょっと気だるげな歌声がこれでも特徴的。
イントロのギターも上がったり下がったりが癖になる。
少しステップを踏みたくなるドラムと吐き捨てるような歌い方の感情の表現がずきずきと胸の奥に聴こえてくる。
歌の韻の踏み方とかはラップに影響受けているのを感じるし、歌詞のちょっと優しいけど夜遊びしているあんちゃんの感じがする。
タイトルからして東京ラブストーリーに使われてないんかいと思った。東京に憧れたカンチの心情に合っているような気がする。
4.怪獣の鼻唄
歌い出しからノリノリの楽曲。
初めからラップ調だけどメロディアスで、メロディが上がっていくのがきらきらと明るくて楽しい気持ちになる。
声量、声の低さがグルーヴ感を持っていて物凄い楽曲に奥行きがある。
ドラムとかギターも歌もヒップホップがルーツになっている。
だけどVaundyの癖があって強気な感じでは無くてしっとりと聴きやすいメロディになっている。
6.不可幸力
世の中の混とんとした空気感と都会の夜の街の淀んだ空気感をイントロで表現している。
気だるげなラップ調な歌い方にはちょっと悟った感じがあってそういう世代を感じるなと思う。
歌詞も『灯火』の言いたいことと同じだと思うけどちょっとこっちは諦めた感じの気分を感じる。
7.soramimi
イントロの細やかな重ねた打ち込みの音がダンスミュージックなのが分かる。
サビではぱっとクラブで盛り上がりそうなダンスミュージックに切り替わる。
音像が多くてライブとかでは盛り上がる楽曲なんだろうなと思う。
8.Audio 002
1曲目『Audio 001』同様のインスト。
都会の喧騒とかざわついた音がこの『Storobo』というアルバムの世界観を表しているんだなと思う。
9.napori
ちょっとファンクバンドのSUPER BUTTER DOGの声が低くなってガラガラ声になったらこんな感じなのかなと似てるなーと思った。
ここまで聴いて、自信満々な少年では無くて、グループの端っこからリーダー格を憧れているようなあまり前に出ないような少年性を感じた。
あまり、前に出ないタイプって事。
そういう幼さのある声は結構共感されやすいと思う。声量もあって十分に響きやすい声だと思う。
10.僕は今日も
バラード曲。
歌詞が実体験からなのかな?と思わせるようなリアリティがあるけど、意外と共感できそうな歌詞。
しかし、拙者は『才能がある』とも言われたこともないし、『あなたはカッコいい』とも言われたこともなく、唯一共感できたのは『親不孝』かしらね。
脱力感があって結構好き。
もしも僕らが生まれてきて
もしも僕らが大人になっても
もしも僕らがいなくなってもいても
そこに僕の歌があれば それでいいさ
この歌詞が素直に好き。
ずっとそんなことを思ってさ 弾き語るよ
では『弾き語るよ』=『生きていく』って歌っているようでなんか安直かもしれないけど勇気をもらえる。
『生きる』=『悩む』を最後の歌詞で言葉にして歌っているのが人生を俯瞰してみてる人間だなーって思った。個人的共感ポイント。
11.Bye by me
生活感のあるフラットな歌い方と曲調。
それからノスタルジーでアルバムの着地点としてもう一回聴きたくなるような曲順になっている。
なんか、アットホーム(語彙力)な感じ。
あとがき
全体的にざっくりな一言を言うと、メロディの繰り返し方、フォーク、ラップを取り入れているところからエド・シーランぽさを感じた。
リズム感とかノリがよくてはずむ(Bound)気分にはなるが、”Boundy”ではなく”Vaundy”なんだよな。(アーティスト名の由来はなんじゃろな…?)
結構手慣れた感じでもう音楽性、個性が完成しているような気がする。
エドシーランと比べて違うのはシンセと打ち込みを多用しているのが楽曲の奥行きを作っているのかなと思う。歌声も特徴的でもあるが。
そんなところ。
今後の音楽シーンにおいての評価に関しては聴き心地が良いメロディだけど新鮮味を感じない。
個人的に好きではあるけれどコアな音楽ファンにとっては挑戦的ではないタイプの音楽性は今後人気を拡大するかは正直あまり期待できないなと思う。
だけど耳障りの楽曲を好む音楽好きには受けやすいから今後はタイアップが多くなるんじゃないかなと思う。
それと個性的なクセはプロデューサーとかが向いているんじゃないかな、と思う。
というかやってるみたいです。
以上。
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