BUMP OF CHICKEN『Flare』という灯火
※当記事ではBUMP OF CHICKENの『Flare』という楽曲の歌詞の意味を筆者なりの解釈で説明している為解釈が歪められるのにもし抵抗がある方は当ページをそっと閉じてください。
2月11日。BUMP OF CHICKENが初めてBUMP OF CHICKENとしてライブをしたBUMP OF CHICKENの結成記念日。過去には2016年には結成20周年記念として千葉 幕張メッセでライブを開催している。
毎年ファンがSNSにて #BUMPOFCHICKEN結成○○周年 と添え、SNSの公式アカウントへ向けて感謝の思いやメンバーを描いた自作の絵を添えて送られる。
そして今年その記念日である2月11日に前もっての予告なく新曲のリリースをMVと共に発表された。
結成25周年を迎えた本日2021/2/11に新曲「Flare」を配信リリースし、映像も公開しました。https://t.co/UXnHvDtKSM
— BUMP OF CHICKEN (@boc_official_) 2021年2月10日
— BUMP OF CHICKEN (@boc_official_) 2021年2月10日
公式アカウントのTweetで知りすぐにYouTubeに飛んで見て、聴いた。
だらっと気が抜け、優しい増川のギターから曲が始まり、20thアニバーサリーイヤーに作られた『リボン』と同様に過去の曲から引用された歌詞。コーラスでは、増川と升からの藤原が重なるところが良い。フィンガースナップが近い距離を感じられて安心する。
楽曲の聴き方はひとそれぞれあれ、バンプの曲は特に歌詞の考察したくなるファンが多い。
タイトルの『Flare』は”炎”という意味から”炎”がポルトガル語だとメンバーの愛称になるという事や、”コロナ中に蓄積された磁場のエネルギーが解放される現象”から来てるととらえるものまである。どちらとも捉えられるし、現時点で公開されていないインタビューやコメントが無い限り分からない。
しかし、そのどちらにも、更に様々な場面にも重ねられるように出来ているのがバンプの歌詞の魅力だ。
1.
もう一度起き上がるにはやっぱりどうしたって少しは無理しなきゃいけないな
この歌い出しは、失敗して立て直そうとするにはそれ以上の力が求められるという事に改めて気付いたような心情が語られて、バンドの状況や、今の社会の状況にも重なる。
一人じゃないと呟いてみても感じる痛みは一人のもの
自粛の要請があり、仕事にはリモートワークが求められ、世界的に殆どの人間が”一人”の時間が続いていて、目に見えないものを認識して苦しめられている。
何が許せないの 何を許されたいの
では今の社会状況に置かれてSNSやネットで生まれ続けている”葛藤”が反映されていると言えなくはないだろう。
2.
何回もお祈りしたよ 願い事 どうしたって叶わなくて
諦めてしまった 忘れやしないけど
またこの歌詞では失ってしまった存在、普通の日常に戻って欲しい、バンドが抱えてしまった事が事実で無ければ、という願いのようにも聞こえるし、その後の
あなたのための月が見えるよ
は聴いた人全員に当てはまるし、全員を見逃さないという藤原の性格が以下の歌詞にも出ている。
巨大な星のどこかで いくつの傷を抱えても
どんな落とし物しても 全部塗り潰す朝
落とさない ひと粒
身体中の細胞フル動員で”キミ”を見ようとしている強さが伝わってくる。
そして、人の芯に触れ、葛藤の答えを提示する2番の最後の歌詞。
壊れた心でも 悲しいのは 笑えるから
”悲しい”と”笑える”という組み合わせのアンビバレンスな表現が歌詞の中で必然的に意味が成立するようになっているのは流石詩人藤原だと思った。(ただの感想)
1番の歌詞でもあったが、
青に変わった信号
は最初聴いた時は以前髪の色を青に染めていたメンバーの事かと思ってしまった。
それは違うかもしれないので捉えるとするならば人それぞれが何かを受け入れる、”肯定する”という意味かもしれない。
たびたびこういう事を音楽と重ねすぎて純粋な音楽を楽しめているのかと疑問に思ってしまうが、現在の社会状況を苦しいながらも、認めて、1番の歌詞の
自分にしか出来ない事ってなんだろう
と、前を向いていこうとする姿勢と近い意味がある。
最後の歌詞には、
混ざって避け合って行き交って
迷路みたいな交差点 大丈夫 渡れるよ
と複雑な気持ちに背中を押してくれて、
誰も知らない命の騒めき
に続く1番のサビの最後と同様の、
どこにいるんだよ ここにいたんだよ
ちゃんと ずっと ちゃんと ずっと
がとにかく知らない存在を認識しようとしている力が込められている。
過去には〈そこに君がいなかったこと そこに僕がいなかったこと〉〈一人減った未来を 一人多かった過去を〉と主観的というよりそっと1歩引いた感じだったが、距離の近い主観的な歌詞に変化している。
それを生々しく感じ過ぎちゃうのはちょっと音楽を聴き続けるのには恐い気がするので言えるのはこのくらいです。
やっぱバンプが好きだな。
最後に。
BUMP OF CHICKEN、結成25周年おめでとう。
BUMP OF CHICKENの一番新しい音、言葉、”大丈夫”から新しい勇気をちゃんと受け取ったよ。ありがとう。
これからもよろしく。