2021年2月の新譜で気に入った曲。

毎月Spotifyで気に入った新譜でまとめたプレイリストを作ったりしてたけどプレイリストが増えると邪魔なのでブログに記録することにした。

文字の羅列だけになってしまってるので見にくいと思います。そこのところは今後改善していきます。

順番については特に意味はありません。

 

どんぐりず『NO WAY』

Rostam『These Kids We Knew』

Mark Diamond『Heartbreak Money』

Visionist, Haley Fohr『The Fold』

IKILLU『2020』

Sia, Devid Getta『Floating Through Space』

Eve, suis from ヨルシカ『平行線』

millennium parade, Friday Night Plans『Trepanation』

Doul『Dearest Friends』

FINNEAS『American Clinche』

Branco, Lukas Graham『No Evil』

BUMP OF CHICKEN『Flare』

Pictured Resort『My Heart』

P!NK, Willow Sage Hart『Cover Me In Sunshine』

GENERATIONS from EXILE TRIBE『A wish for you -キミを願う夜-』

Florida Georgia Line『Long Live』

星野源『創造』

HAIM, Taylor Swift『Gasoline(feat. Taylor Swift)』

For Tracy Hyde『スロウボードのゆくえ』

A夏目『東京の冬』

ビッケブランカ『ポニーテイル』

yama『クローバー』

あいみょん『桜が降る夜は』

aiko『磁石』

Cwondo『Garbage』

Julien Baker『Relative Fiction』

Julien Baker『Crying Baker』

Cassandra Jenkins『Hard Drive』

Taylor Swift『Love Story(Taylor’s Version)』

2021年2月読んだ本。3冊しか読めなかった&報告

necklessowl.hateblo.jp

↑こちらで書いていたシリーズ(?)なんですが、コロコロとブログのタイトルを変えていて今回『モノガタリは終わり地続きのセカイに鳴り響く』というタイトルに変更して、小説も音楽が共存してもしっくりくるタイトルに出来たので今回からこちらのブログアカウントで書いていく事に決めました。ほいじゃなんでブログ分けてたかっていうとやっぱりジャンルって分けられていた方が良いのかなと思っていたからなんですけどもまあ、正直どっちでも良くね?ってなったので音楽と小説、それに限らず色々と僕なりの思想、エッセイとかも一つにまとめる事に至りました。

まあ、そんなことどうでも良いですね。ハイハイ。

↑というのがタイトルの『報告』という部分になります。

ちなみにこれが1月に読んだ記録(?)記事です。倍以上読んでます。↓

necklessowl.hateblo.jp

 

本題!

 

【小説】第164回芥川賞受賞作『推し、燃ゆ』著:宇佐美りん

推し、燃ゆ

推し、燃ゆ

 

 ページ数:125P

正直な事を言いますと、恥ずかしながらあまり賞を取っている作品には無頓着で、恐らく芥川賞受賞作を読んだのは初めてでした。

簡単な感想を言うと(まあ、そういう事を語る記事なんですけども)、アイドルの炎上という問題だけ、一口で説明するのには様々な葛藤が緻密過ぎずに描かれていました。

まず、主人公が”推し”ているアイドルがファンを殴ったという情報から始まり、まず、その書き出しが簡潔で秀逸で物語の発信として素晴らしい。『吾輩は猫である。名前はまだない。』レベル。

主人公は推しについての情報発信をブログを介して同じファンに共有している熱心なガチオタク、ザ・ファン(?)です。

で、主人公が推しているアイドルが起こす発信に様々な憶測や、言葉がSNSで飛び交うわけです。そこで主人公やその周りのファン仲間が心配してくる葛藤が現代的な表現がある。そして、それだけに限らず、主人公は発達障害を抱え、家庭環境にも問題を抱えています。主人公は推しのためにアルバイトをし、しかし、周りからの理解がされるかされないかという推しへの強い”執着心”の葛藤が描かれ、後半には親から与えられた環境の中、ヒトとして前進するかいかに……!?という展開がじわじわとさせられましたね。

僕自身もアイドルや、ミュージシャン、役者とかのファンの一人で、少なくとも、その中に炎上をした方々がいるわけです。そして、SNSをやっていれば自然と情報が入ってくるし、もやもやさせられる。スマホを見れば完全にはシャットアウトできない。主人公と同様とまで分かりませんが、自分自身の考え方、実家にいた頃の不便さも感じていたところもあって、主人公の葛藤がリアルに分かってしまった。今の時代合って、この作品は時代小説として将来なるべくしてなっていく現代の記録のような小説だと思いました。推しがいる人ならば今読むからこそ、少しの覚悟が固まる気がする。125ページで見事だった。

芥川賞、俄然興味が出てきたでござる。これまで読んだ中にもしかしたら芥川賞受賞作があるかもですけど、覚えてません。すみません。

 

【漫画】『DEATH NOTE 短編集』著:大場つぐみ/小畑健

僕が最初に映画作品で衝撃体験したのはこれだ。

このタッグは史上最高だよ。大好きな群像劇な展開、主人公はどう考えても人間ではなく、死神、いや、ノートの方か?

リュークが死神大魔王に呼ばれる伏線の回収とかもうgんhしげwjfpgrp

 

ラノベ】『デュラララ!!SH×4』著:成田良悟

デュラララ!!SH×4 (電撃文庫)

デュラララ!!SH×4 (電撃文庫)

 

 ページ数:309P

今月読んでるの2冊だけじゃんやべぇ!!ってなって急いでラノベを読みました。

まあ、僕の原点と言っても良い10年位続いている作品ですね。

ラノベなので。特にないけどセルティ可愛い。それだけかな。うん。

 

 まとめ

 ・各読んだ冊数

漫画×1冊

ラノベ×1冊

小説×1冊

 

なんか今回感想が適当でごめんね!!

切ない恋をしている夜に、にしなの『ダーリン』を曲と一緒にMVも見てくれ

YOASOBIのボーカルikuraが所属しているぷらそにか出身で、Indigo la Endゲスの極み乙女。川谷絵音Twitterで募集した弾き語りオーディション企画で採用され話題になり知ってる方も多い、現在ソロで活動中にしなという女性シンガーソングライターの新曲、『ダーリン』という曲が、MVも含めて良かった。

 

ダーリン

ダーリン

  • にしな
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

曲を聴いて貰えばわかると思う。イントロから超絶切ないギターの音色がか細く、たびたびふと奏でられるピアノのメロディが孤独感を表現している。

歌い出しは《ねえ ダーリン ねえ ダーリン》と始まり少女の恋人へ心細くなった感情の表現から始まる。

《もう寝ちゃったかな そっぽを向いて/どうして隣にいるのに ずっと遠いの》。物理的な距離感に対して感情的な距離感に遠回しではなく不器用そうに震えたにしなの歌声とその歌詞の相性が美しく、正直な芯のある少女の優しさが言葉で映し出されている。

サビでは《上手に傷付けられなくて 泣いちゃうところが好きよ》と歌っていて、恋人の方が嫌われようとしているのに対して次の歌詞で《さよならは私が言ってあげる》と恋人の気持ちを受け入れようと努力している歌詞がモヤモヤとさせて哀しい歌詞の構成で切ない。普通であればラブソングなら好きだったら好きと伝えようとする心情や、伝えられない葛藤、失恋ソングだったら失恋してから覚えた感情や恋愛の願い事を抱いて事を歌うのが多いと思う。しかしこの曲はどちらの要素を含めて、失恋をする前夜の瞬間を描き出している美しい楽曲だ。そしてサビの最後では《恋を静かに吹き消す夜》という表現が悲しいだけでなく、前進しようとしているようにも聴こえてくるのが失恋ソングとして完璧で聴いた人の背中を押してくれる曲だと思う。

歌詞も良いけどMVも是非見て欲しい。


ダーリン / にしな【Music Video】

少女がベッドの上に起きていてうつむいた表情でいるその横に男が寝ていて楽曲の歌詞が忠実に再現されている。

女優の表情が歌と共にじわじわと悲しい表情に変化していき曲の2番になったところでベランダで泣きながら《恋を優しく吹き消す夜》という2番の最後の歌詞と共に手に息を吹くと、夜の街の明かりが消えていく。

曲の主人公の少し気が強いけど弱いところまで、女優、萩原みのり*1さんの表情の表現が見事にマッチしている。なので是非曲と共にMVも見て聴いて欲しい。

また、『ダーリン』はMVとは別にもっと前ににしなが弾き語りした動画も挙げられているのでこちらもこちらで寂しげな曲調がまた違った感じで聴いてみて欲しい。


【にしな】ダーリン

 『ダーリン』作詞/作曲:にしな

ねぇダーリン ねぇダーリン

もう寝ちゃったかな

そっぽを向いて

ねぇダーリン ねぇダーリン

どうして隣にいるのに

ずっと遠いの

 

流れて消えてく雫と結露した窓

どうにもならないんだってことずっと

わかってるのに

 

中合わせで伝わる呼吸

上手に傷つけられなくて

泣いちゃう所が好きよ

さよならは私が言ってあげる

ごめんね これしかできなくって

恋を静かに吹き消す夜

 

ねぇダーリン ねぇダーリン

ずっとわかってたよ 貴方のことだもの

ねぇダーリン ねぇダーリン

この部屋で過ごすのも

今日で最後ね

 

触れたら壊れてしまいそうな夜の隙間

覗けば愛しい思い出ばかりで苦しくなる

 

寝たふり続ける長い睫毛 あどけなく愚かに夢を見てる

2人は幸せだったわ

さよなら私の愛しい人

ごめんね

これしかできなくって

恋を優しく吹き消す夜

 

川谷絵音がプロデュースし、にしながボーカルを務めた美的計画の楽曲も聴いてみてれ。

恋のこと

恋のこと

  • 美的計画
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes
KISSのたびギュッとグッと

KISSのたびギュッとグッと

  • 美的計画
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

*1:萩原みのり:現在上映中の映画『花束みたいな恋をした』や来月3月5日からAmazonプライム限定で配信される予定の『お茶にごす。』、MBSドラマ『RISKY』にて主演を予定している注目の若手女優。個人的推し作品は『転がるビー玉』。今回紹介した『ダーリン』に重なる役でにしなの『ダーリン』を好きになった人は要チェック。入り口には『I's(アイズ)』。がちでファンになるなら『お嬢ちゃん』は欠かせない。

【第1回】物語は変わり地続きのセカイに鳴り響く~ロックは死んだについて~

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   ※   ※   ※   ※   ※

 

某日。都内のとある一角のテレビの収録スタジオにて一つのテーマについての議論が広げられようとしていた――

 

ースタジオ-LIVE-

 

S川「はい~始まりました! 本日、MCを担当させていただきます、わたくしほとけさ…。失礼しました! S川です。本日はロックは死んだをテーマに音楽と関りの多い方々を交え議論していきたいと思います。早速ですが、本日の議論をして頂くそのゲストを紹介します! 40年前お茶の間で大人気だったロックバンドのボーカルを担当し、女優のK雪さんと結婚してから現在は業界から引退し、都内でバーを営んでいる元ロックバンドボーカルのM友さん!」

M友「……。」

S川「……はい。続きまして! 人気ロックバンドのボーカルを務めるT島さん!」

T島「よろしくっす!」

S川「ボカロPと音楽ユニットの作詞、作曲、コンポーザーも務めるB山さん!」

B山「おねがいしまーす」

S川「男女混成のアイドルグループのリーダーも務めるA辺さん!」

A辺「お願いします❤」

S川「芸人のH吉さん!」

H吉「ちょっ俺だけさらっとしてる! …あ、よろしくお願いしますっ」

S川「最後に様々なドラマ、映画に引っ張りだこ! 男の子だけど女の子役も演じ切る100年に一度の天才子役と名高いR波くん!」

R波「よろしくおねがいします!」

 

S川「それでは本日は”ロックが死んだ”か否かについてこの5名に議論して貰いたいと思います! 早速ですが、40年前にロックバンドのボーカルを務めていたM友さん! M友さんから見て今の音楽シーンを見てロックは死んだと思いますか?」

M友「まずキミ、40年前とか言うのやめてくれる?」

S川「あ、はい。失礼しました…」

 

M友「まあ、そうだね。あんまり今の若い子たちが聴いてる音楽を耳にする限り、ボクが現役の時、聴いていたロックみたいなのは見かけなくなっちゃったよね。」

S川「と言いますと…」

M友「昔はもっと貪欲で攻撃的でかっこよかった。まあ、例外はいるけど。今の子たちはエリート気取っちゃっていてなんだかそういうのって姿勢が違うなって思うな。熱を感じない。」

S川「なるほど。ありがとうございます。次にT島さんはどう思いますか?」

T島「オレはもちろん! 死んでない派です! M友さんが言う攻撃的バンドはいなくなったわけではありません。チャートには入っているし、みんなカッコいいロックやってますよ。確かに曲によってはボーカルばっかり目立ち過ぎた構成の楽曲が多いかもしれませんけど」

S川「ありがとうございます。死んでない派という理由をもう少し伺っても良いですか?」

T島「減ったというだけで実際、日本では毎年ロックバンドの出演しているフェスは開催し続けてるし、メディアにも出てる、オレだってこうして。チャートに入っているのを基準にロックは死んだっていうのもこちらとして気分悪いし、実際、名前を出すのもおこがましいですが、Official髭男dismとか『Pretender』が30週以上チャート1位で、それをKing Gnu『白日』が1位になって止めてるんですよね。ロックバンドが独走してるとしか言いようがないですよね(笑)」


Official髭男dism - Pretender[Official Video]


King Gnu - 白日

 

S川「他のロックバンドに関してはどうですか?」

T島「そうですね、SPYAIRとか、[Alexandros]とかザ・ロックバンドって感じで歌唱力も抜群。タイプは違いますけど直近だとマカロニえんぴつは、ヒゲダンみたいに女子高生にハマる歌詞がやっぱり人気ですよね! ボーカルが女性でずっと真夜中でいいのに。も抗おうとする歌詞がロックです」

RAGE OF DUST

RAGE OF DUST

  • provided courtesy of iTunes


[ALEXANDROS] - アルペジオ (MV)


マカロニえんぴつ「ブルーベリー・ナイツ」MV

 


ずっと真夜中でいいのに。『秒針を噛む』MV

 

S川「ありがとうございます。B山さんはどうでしょうか?」

B山「あ? あーはい。…そうですね。なんといいますか、ロックが減ったというよりも、変化した、また表現の一つになってしまったみたいなところはありますよね。僕自身、ロックに影響を受けて楽器は最低限出来るけど打ち込みの方が早いのでそっちにしているだけで、その打ち込みで作られる音楽が歴史の言うロックとは変わっちゃったと言わせてるのかなあって思いますね。生々しさみたいな? 実際、僕のユニットの曲は確かにボーカルの歌声ありきですけどロックの系譜をなぞっていますので」

S川「なるほど。変化、表現の一つと言いますと例えばどういう事でしょうか?」

B山「……今だと一部のアイドルがポップミュージックとしてだけでなく、ロックの要素、メタルパンクラウドってロックのジャンルを取り込んでそれぞれグループの表現として取り込んでいて、バンドじゃないとダメみたいなところが無くて、アルバムには色んなジャンルを入れた上でロックはやっぱり入ってますしね。グループによってロック曲の人気の比率としては正直微妙なのかな。分かりませんけど」

S川「アイドルグループのリーダーを務めるA辺さんはどうですか?」

A辺「あ! はーい♪ ロックって~魂だと思います! それが無くならなければロックは不滅だと思います! ロックの定義? って言われても正直良く分からないんですけどメンバーの男の子が言ってました💓」

S川「ロックって言うと確かに”魂だ”って昔から言われてますよね。何にも考えてない感じがしてニュアンスはなんかわかるというか(笑)」

T島「……」

A辺「私は良く分かりませんけどロック? 生きてる派で~すっ♪」

M友「なんでこんな話にならねえヤツ呼んだのか聞きたいんだけど。アメリカとかだと当時ロックは、政治行動や、青少年の反乱とかいう社会的態度の意味があったんだよ。ちょっと音楽が好きなやつが軽々しくまとめられちゃ困るね。」

A辺「なにあのおっさ――」

H吉「ちょっちょっ! ケンカはやめましょっ、始まったばっかりなのに(苦笑) ぼく、僕はロックは生きてると思いますよ! 最近のロックバンドでも、GEZANとか、突然少年、あと…羊文学! どれもロックですよね!」


GEZAN - 「赤曜日」「東京」(FUJI ROCK 19)


突然少年 【火ヲ灯ス / Live at WALK INN FES!2019 】


羊文学「ghost」Official Music Video

 

S川「ありがとうございます…。ありがとうございます! えー気を取り直して、次、R波くん! ロックは…分かる?」

R波「ごめんなさい…さっきからきいてたんですけど…ろっく? ってなんですか?」

S川「え!? 知らない? そっか…。さっきあの髪の長いお兄さん、T島さんが話してたKing Gnuとかヒゲダンって分かる?」

R波「わからないけど、おんがくのひとたちですか? なまえはしってるからおんがくはきいたことはあるとおもう……」

S川「あ! 以前にR波くんが出演していたあの作品の主題歌、思い出せるかな? あれがロックだと思ってもらえるといいな」

R波「あ! わかりました!じゃあ、ろっく? っていきてるんじゃないですか? うたってるひとてれびにもでてるし…」

S川「流石R川くん理解が早くて助かる! …そうすると…今のところ生きてる派が……5対4……(ちょっとH吉さん、番組のバランス的にあれなので、ロックは死んだ派に…お願い、お願いします……!!)

H吉「(マジか…)ぼく! 僕はやっぱりロックは死んだ派でお願いします!」

S川「お! どうしたんですか急に死んだ派なんですか?」

H吉「…。いや、まあ、ジョン・レノンがね、ロックは死んでしまったって言ってるんですよね。もうそれ思い出したらそうだなと思って。ロックは死んでます!」


INSTANT KARMA! (WE ALL SHINE ON). (Ultimate Mix, 2020) - Lennon/Ono with The Plastic Ono Band

 

S川「という事で現在は死んだ派が2名、生きてる派が3名です。あ、ちょっと待ってくださいA辺さん! どこ行くんですか!」

A辺「だってさっきなんか変なおっさんに絡まれたからすげー気分悪いんだもん。ロックって知らないって正直に答えただけで、あそこまで言います? ふつう」

S川「おっさ……、いやいや、ね、それはあれですよ、ね、ほら、これから盛り上がってくるんですから、もう少し、いて欲しいなー。はは、あ、そうだ、わたくしA辺さんのファンなんですよ! 後でサイン、貰っても良いですか?」

A辺「え! そうだったの!? 早く言って下さいよーS川さん♪ 後で上げますね♪」

S川「やった! ありがとうございます! 楽しみだなー……。A辺さんが席に戻ってくれたところで、えー、失礼しました。気を取り直して、続きまして、今回の”ロックは死んだ”についてなぜ今回このように取り上げているのかと言いますと、一部のロック好きから、”ロックは死んでない”という主張が広がってるんですよね。で、今回その件に関して巷の方々はどう思っているのかなと思ってインタビューしてきましたのでVTRご覧いただきたいと思います。VTR、お願いします……!」

 

ー映像

 

――ロックは死んだと思いますか?

「ロックだ? オレが昨日殺しちまったよ。ワンルームのベッドの下で不貞寝してたところを――」

 

ースタジオ

 

S川「大変失礼致しました。こちらの手違いで本来流す予定ではなかった映像を流してしまいました。次からは本来流す予定だった正式な映像の方を流します。……お願いします」

 

ー映像

  

――ロックは死んだと思いますか?

「ロックは生きてるよ。昨日もライブに行ったよ。やっぱ良いよね、ライブ。生で見るの。ロックは生じゃねーと成立しねえよな」

eplus.jp

 

「また"ロックは死んだ"ってやってるの(笑)? 第何次”ロックは死んだ”戦争ですか(笑)」

 

「あいつが言ってるんだよ。誰だったっけな、”ロックマーケットは拡大してる。””ロックがしまいなんて、そんな事はない”ってよお」

 

「パンクやヒップホップの話持ち出してくる人がいるんだけどね、こっちはロックの話してるんだよね」

 

「新譜で環境活動家、グレタトゥーンべリのメッセージを入れたThe 1975。ラップやゴスペル、アンビエントミュージックを取り入れた音楽性。ロックナンバーなPeopleだけに限らず、彼らの音楽の姿勢は紛れもないロックだ。今のロックなんだ」


The 1975 - If You’re Too Shy (Let Me Know)

 

「抵抗し続けて、聞こえてない奴らに聴こえるまで社会も時代もかたどって歌い続けるamazarashiが日本のかけがえない、今の正真正銘のロックだよ」


amazarashi 『令和二年』“A.D. 2020” Music Video | Giant Buddha Projection Mapping

 

「ラップもポップもパンクもファンクもメタルもぱるるもみないっしょ! イェ! ロックはオレの中に深く根付いてく 偉大な後世が受け継いでく フォ! フォ! 死んだ言うヤツタチ悪いオレらにゃ関係ない! オレらロックでHigh! 一般人と比べて脳は倍! 音楽大好きオレらみんなダチー! イエーイ! イエーイ!! ピース! ピース!✌✌」

 

「同世代や、上の世代がやってるから良いと思えてたんだよね。若い子がやってるの見ると全然共感、心が動かないんだよね。だから知るかウェイブスぅ~ってかんじ

 

「ロックは死んだもあんなのロックじゃないもサブスクで音楽はダメになったもあいつはパクリだなも全部言ってるてめえの愛の問題だなも? 一緒にすんなだなも。ん?」

 

「昔の人が言っている事を持ち出して、死んでる、死んでないって話する人時々いるけど、イアンもカートも昔の人よ。持ち出したって意味ない。今のロックの話をしてるんだよね、うん」

 

「ロックは世代交代しましたよ」

 

「サブスクが出てきたせいですよ! ロックだけじゃなくて音楽事態人間の愛が薄れていってるんですよ。あいつさえ生まれなければ…」

「え? でもサブスクのおかげで違法アップロードしてる音楽アプリとか、海賊盤には対抗出来てるんじゃないの? 手軽で興味が向かなかった音楽に出会えるきっかけになってワタシはサブスク好きなんだけどな」

 

「そもそも生物じゃないんですから死んでるか否かなんて話しようとしてるんですから不毛な議論じゃないですかね」

 

「言ってるのはおっさんでしょ? そりゃもう若者じゃないからね。ロックはおっさんのためじゃないから」

 

「その言葉このご時世センシティブな表現じゃないですか?」

 

「ぼ、ぼくはアイドルしか聴きませんので、えぇ」

 

「私はクラシックしか聴かないんです。ごめんなさい(-_-;)」

 

 「何それ犬の名前?(笑) オレは犬もペットすらも飼ってないよ?(笑)」

 

「あ! ワタシ家のカギ閉め忘れたかも!」

 

――――――

 

「紅白で『うちで踊ろう』歌った星野源が日本で一番ロックっしょっ」


【NHK紅白】星野源『うちで踊ろう(大晦日)』フル・バージョン

 

――――

 

――

 

「ロールはどうした」

 

――――――

 

――――

 

――

 

ースタジオ

 

S川「以上、VTRを見ていただきましたけど、実際にロックバンドをやってらっしゃるT島さんは今の意見を聞いてどう思いますか?」

T島「そうですね。オレたちは今のロックの話をしてるので、昔の方々を持ち出すのは違うと思いますし、ジャンルの話も別だと思いますね。確かに系譜はなぞっているとしてもロックの話をしてるんです。あとさっきのラップですか? あれ。オモシロかったですね」

 

S川「R波くんは今のVTRから何か思った事ある?」

R波「ん~。しんじてるひとにはいる。しんじてないひとにはいないってすこしまえにお母さんからおそわったので、しんじてるひとにはろっく? はいきてるとおもいます」

 

S川「A辺さんは……いかがでしょうか?」

A辺「さっきアイドルが好きって言ってた人私のグループのライブグッズ着てた!!」

S川「ああ…あはは……」

 

S川「M友さんは……」

M友「さっきからそいつはなんだ、ちゃんと話聞いてるのか? ロックのロの字もしらねえなら――」

H吉「M友さんちょっと落ち着いてくださいっ。僕仲間ですからね。やっぱり僕はジョンレノンの言っていた…いや、ジョンレノン様がおっしゃっていた事が正しいと思いますね。ロックは死んだんです。一部で言ってる人がいるみたいですけど、ロックは死んだって言ってるって指さしてるおじさんってジョンレノンの事ですかね? それはジョンレノンに限らず今まで言ってきた歴代のロックミュージシャンに失礼じゃないですか?」

T島「だから過去のミュージシャンの話じゃないですか…。だったら、デヴィッド・ボウイは”ロックは生きてるアート、常に再構築して変化を探ってる”って言ってるんですよ」


David Bowie - Suffragette city

H吉「いや、さっき昔の人の意見は別って言っていたのにこの流れで持ち出しちゃ意味ないじゃないですか…どっちかにしましょうよ……(苦笑)」

M友「ロックは死んだよ。デヴィッド・ボウイが言ったかどうかじゃなくてもうロックは死んだよ。”宗教みたいになった。コマーシャルになり過ぎた”ってさっきからそこの兄ちゃんが言ってるジョンレノンが言ってるんだよ。今のロックの扱われ方はロックじゃないね。ただのソレ……大衆に合わせた”創作”だよ。」

H吉「で、ですよね! B山さん!!」

T島「B山さんとT島さん……ジョンレノンが言ってるのは元祖ロックであって、今のロックの話をしてるんですよ! あなたたちはどの時代を生きてるんですか!?」

H吉(もうT島さんに説得力ない…)

 

A辺「あ"ーマージキブンワルい。さっきからロックロックって口の方のロックしたら? やだー! あたし上手い♪ ……てかさぁ、さっきから言ってる話って自分の知ってるそのロック? の知識披露して自慢話聴いているみたいでなんかきもいっていうかー、草? 私ちょーどーでもいーっていうか? てか最初に死んだって言いだした人って誰なの? それ言い出した人呼ばないと結論もクソもないんじゃない? 返事が無いんだったら」

S川「確かにそれは言えてるかもしれないですね。それより、A辺さん口調…

T島「それもそうですよ、言った人自身が、納得しないとこっちが納得できませんよ!」

M友「ロックも知らねーくせに…だから女は…。」

A辺「はあ!? 今あのおっさんなんて言いました? てかおっさん、日本のロック? 海外のロックどっちの話? どっちに生きてんの? ロックが死んだとか、昔ロックミュージシャンやってたってだけで偉そうに今のは死んでるとかそれってただあんたのロックに対しての愛が死んだだけじゃないの? マジウケるんですけど。自覚出来ないってもう病k――」

 

H吉「はああああああもーーーやめろって!!!うるせぇってケンカすんな生放送だぞ!!!!」

 

S川「H吉さんありがとうございます……。あっH吉さん! 席には戻って下さい! A辺さんはそんなにH吉さんのこと睨まないで(笑) ね! 笑顔笑顔って…まあ、ちょっとM友さんもあまり過激な事は言い過ぎないようにお願いします…」

 

S川「……えー…なるほど、もう時間という事みたいなので、それでは、ブイの内容と、皆さんのお話を参考にわたくしの意見をと合わせてまとめさせていただきますね」

 

S川「正直言いますと、わたくしロックの歴史についてあまり良く分かってないんですね。その上で別の角度から。

 昔は、”死ぬ”っていう定義自体、人に対しても曖昧だったんですよね。勿論、日本では火葬をしてしまえば跡形もなくなるわけですから”死んだ”と言えるんですけど、死んだと言っても心臓や脳が死んだ後でも、髪の毛が伸びた。爪が伸びた。それを”死んだ”という表現することに対して批判的な意見が沢山あったんです。

 それと似てますよね。

 ロックが死んだ。生きている。チャートにはちゃんとロックっていうジャンルは入っているという事実はあるし、ロックは死んだと言っている人は、ロックへの愛、もしくわ、M友さんの言う、当時のような、好きだったロックが無くなったからそれが無くなったという主張でしかないと思うんですよね。で、その上で毎度毎度議論してるのは、ブイで言ってる方もいたと思いましたが、とても不毛だという事で今日は締めたいと思います!!」

 

S川「やはり限られた時間では説明するのは難しいみたいですね。えー短いお時間でしたが、ご視聴ありがとうございました!!! また来週!!!」

 

――数日後

 

その番組の収録直後、M友は番組内にて、A辺の言葉に心が動いたのか、音楽活動を30年ぶりに再開しようとしていた。しかし、SNSにて番組内の発言について様々な角度から炎上をしている事を知り、活動は断念せざる終えなくなった。

また、それからまた数日後には、某週刊誌の取材を受けたM友の娘が番組内での父の発言について「もう年齢も年齢なので」と答え、M友が暴言を吐いたA辺には謝罪し、また、相手からも言われたという事もありお互い買い言葉に売り言葉で行き過ぎた発言をしたという謝罪があったという。M友自身は現在は大人しくバーを畳み、それ以降については公にされていない――

 

ロックバンドのT島はSNSにて『今の話してるのになんで活動休止中のバンドの話してんの?』というのがちらほらあったが自身は相手にしていないようで、それよりH吉やM友に言われた事に対し、自分の”ロック”について考え直す機会になった。ともっとロックについて探求するという理由で現在は活動休止している。その発表直前、本人のSNSにて『勘のいい女は嫌いだ』と投稿され、その後一切更新されていない。それを読んだファンの間ではA辺の発言に注目する者がいたとか――

 

A辺はというと、放送直後、炎上を予想したのかすぐさまM友に老害扱いしようとした件について謝罪をしたのち、炎上は止まずSNSにてM友に受けた発言同様の蔑視、及び誹謗中傷を受け続け、アイドル活動を続ける勇気が持てなくなり、グループ卒業の発表。そして、事務所に隠し交際していたグループメンバーであり音楽に詳しく、優しい男性メンバーN田と翌年に結婚したことを男子メンバーN田のブログとグループのHPから報告がされた。SNSにて結婚したことについて一部のファンからは非難の言葉があったようだが、『私はれっきとした人間なので結婚する権利があります。これ以上続くようでしたら裁判も検討してます』という投稿があり、それ以降SNSは更新されていない。

SNSにはA辺の結婚報告を知り

『ファンだけど別に発狂してないよ もともと「結婚したい」「子供が欲しい」ってよく言ってたし、A辺たんに振り回されるのは慣れてるし。こんなA辺たんだけど好きなんだからしょうがない。型にはまらないのがA辺たんだしね。プライベートはN田が支えればいい。私たちはA辺たんの音楽=魂を支えるから。その魂は私達から子供へ、子供から孫へと受け継がれていくし、そうやっていつかA辺たんのDNAと混ざり合うから。それがファンとA辺たんとのEternalだし。』*1

というファンのコメントがあったとか。

現在は専業主婦なのか、夫婦円満であるか否かについてこちらが首を突っ込むことではないだろう――

 

芸人のH吉は、『なんでH吉出てんの?』『お前がミュージシャンの名前出す方が失礼www』『流行りに乗って大声出しただけで草』『(番組一部動画)草』と様々な角度からネタにされていたが炎上という程ではなかった。最近はTVのひな壇の仕事が増えたとか――

 

ボカロP、作詞、作曲、編曲家、音楽プロデューサーのB山は、一部の業界人から自身の楽曲の音圧がうんたらと悪評ともとれる評価を受け、新しく買い替えた機材で表現を追求し今日も音楽を作ってはヒットを更新してるとか――

 

天才子役のR波くんはというと、母親みたいな人になりたいと抱いた後、性転換をし、更に母親の誘いにより出家がうんたらかんたら――――

 

番組はというと番組のクレームの電話が何件か相次いだが、SNSの普及により例年と比べクレームが減り今回についても少なかったらしい。しかし、一方でSNSではやはり番組のアカウントへ『このご時世そのテーマ、発言は不謹慎だろ』『オワコンなゲスト(笑)』『企画が死んでる(笑)』『(番組一部画像×4)草』と散々な事を言われていた。そんなことはまったく相手にせず、初の視聴率二桁を更新し、番組は30分から45分に変更が検討されているとか――

 

そして、S川――わたくしはというと音楽関係の番組に呼ばれるようになった。しかし、SNSではあの番組依頼評判は悪くなり、『なんでまたお前出てるの?』とわたくしのSNSアカウントに送り付けられることもほぼ毎日。まあ、正直仕事なので続けますけど。表に出る限り覚悟は出来てます。勿論、それがわたくし意外の業界人みんなが耐えられるというわけではありませんけど――

 

――――――

 

――――

 

――

 

――1年後

 

ーとある一軒のお茶の間

 

「あなた、この番組の企画、去年にもやってなかった?」――――

 

――――

――

 

ーこの世じゃないどこか

 

H「Hey! オマエこんなところで何やってるんだ!?」

L「二ホンのTVを見てるんだ」

H「なんでまた二ホン?」

L「まあ、見てみろって。こいつらオレらがやってたRockも知らねえでよくこんな語れるよな」

H「お前は相変わらず辛口だな!」

L「Rock is Dead。少なくともオレの中では。でも、あいつらの抵抗はRockかもしれねえ。まあ、勘違いして周りに迷惑をかけてRockを汚されるのはそれはそれでちげえよなとは思うが。あいかわらず馬鹿ばっかだぜ。……うん。でも、あいつらの言うRockをで聴けないのは少し残念かもしれねえな」

H「HAHAHA!! まあ、お前殺されちまったから――――

 

――――――

 

――――

 

――

 

                             fin

 

……?

 

※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は(一部を除き)架空であり、実在のものとは関係ありません。また、物語中のロックについての様々な見解については勿論ロックファンの総意でなければ、発言した人間がロックファンの代表という訳ではないという事、ご理解の程よろしくお願い申し上げます。

 

結局この物語は何が言いたかったの? って? 結論なんてないよ、お前らはいつも個人で決めてそれで終わり。だろ?

  ※  ※  ※  ※  ※

 

 あとがき

読みにくい文章を最後まで読んでいただきありがとうございました。【第■回】とタイトルにありますが皆様のお望み通り続編を書く予定はありません。


世界の終わり/天使と悪魔

 

Twitterアウル

 

all you need is love.

 

全部”愛”だなんだってまとめるやつキライって言われるまでがオチ

Eve×suis from ヨルシカ『平行線』の感想

Eve×suis from ヨルシカ『平行線』


平行線 - Eve × suis from ヨルシカ MV

痛いくらいに切ない。

映画やアニメの主題歌で日本のポップシーンのど真ん中で絶賛注目が高まっているEveさんと続々と映画やCMのタイアップで注目され人気を増やし最近すばらしいEPをリリースしたばかりのヨルシカのボーカル、suisさんとのコラボ楽曲。

楽曲はロッテガーナチョコレート『Gift』のテーマソングとしてEveさんが書き下ろした作品です。

 

切ない失恋曲だけど、二人が気持ちを伝えようとするような強い気持ちが前に出たり後ろに引いたりと揺れ動くEveさんとsuisさんの二人の繊細な表現力に泣いた。

メロディが盛り上がり過ぎずに終始落ち着いたテンポすこし不安にさせるサビの掛け合いや二人がそれぞれコーラスに回っているところがすごく良い。

Eveさんの楽曲はあまり聴けていないので今後ちゃんと聴きたいと思います。

ヨルシカは心情の瑞々しいところの描写とsuisさんの楽曲ごとにぴったりと合った表情をする歌声が魅力で大好きなんですけど、今作はEveさんとのタッグという事で前に出過ぎず、しかしヨルシカで歌っている楽曲とは違い目的に向かおうとするすがすがしい歌声に感じた。最後のsuisさんの声に注目して欲しい。

平行線

平行線

  • Eve × suis from ヨルシカ
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

曲としてはシンプルな構成でその中で表現されている複雑な心境。自分はこういう曲が好きなんだな。

BUMP OF CHICKEN『Flare』という灯火

※当記事ではBUMP OF CHICKENの『Flare』という楽曲の歌詞の意味を筆者なりの解釈で説明している為解釈が歪められるのにもし抵抗がある方は当ページをそっと閉じてください。

 

2月11日。BUMP OF CHICKENが初めてBUMP OF CHICKENとしてライブをしたBUMP OF CHICKENの結成記念日。過去には2016年には結成20周年記念として千葉 幕張メッセでライブを開催している。

毎年ファンがSNSにて #BUMPOFCHICKEN結成○○周年 と添え、SNSの公式アカウントへ向けて感謝の思いやメンバーを描いた自作の絵を添えて送られる。

そして今年その記念日である2月11日に前もっての予告なく新曲のリリースをMVと共に発表された。

 

 


BUMP OF CHICKEN「Flare」

公式アカウントのTweetで知りすぐにYouTubeに飛んで見て、聴いた。

だらっと気が抜け、優しい増川のギターから曲が始まり、20thアニバーサリーイヤーに作られた『リボン』と同様に過去の曲から引用された歌詞。コーラスでは、増川と升からの藤原が重なるところが良い。フィンガースナップが近い距離を感じられて安心する。

 

楽曲の聴き方はひとそれぞれあれ、バンプの曲は特に歌詞の考察したくなるファンが多い。

タイトルの『Flare』は”炎”という意味から”炎”がポルトガル語だとメンバーの愛称になるという事や、”コロナ中に蓄積された磁場のエネルギーが解放される現象”から来てるととらえるものまである。どちらとも捉えられるし、現時点で公開されていないインタビューやコメントが無い限り分からない。

しかし、そのどちらにも、更に様々な場面にも重ねられるように出来ているのがバンプの歌詞の魅力だ。

 

1.

もう一度起き上がるにはやっぱりどうしたって少しは無理しなきゃいけないな

この歌い出しは、失敗して立て直そうとするにはそれ以上の力が求められるという事に改めて気付いたような心情が語られて、バンドの状況や、今の社会の状況にも重なる。

一人じゃないと呟いてみても感じる痛みは一人のもの

自粛の要請があり、仕事にはリモートワークが求められ、世界的に殆どの人間が”一人”の時間が続いていて、目に見えないものを認識して苦しめられている。

何が許せないの 何を許されたいの

では今の社会状況に置かれてSNSやネットで生まれ続けている”葛藤”が反映されていると言えなくはないだろう。

 

2.

何回もお祈りしたよ 願い事 どうしたって叶わなくて

諦めてしまった 忘れやしないけど

またこの歌詞では失ってしまった存在、普通の日常に戻って欲しい、バンドが抱えてしまった事が事実で無ければ、という願いのようにも聞こえるし、その後の

あなたのための月が見えるよ

は聴いた人全員に当てはまるし、全員を見逃さないという藤原の性格が以下の歌詞にも出ている。

巨大な星のどこかで いくつの傷を抱えても

どんな落とし物しても 全部塗り潰す朝

落とさない ひと粒 

身体中の細胞フル動員で”キミ”を見ようとしている強さが伝わってくる。

そして、人の芯に触れ、葛藤の答えを提示する2番の最後の歌詞。

壊れた心でも 悲しいのは 笑えるから 

”悲しい”と”笑える”という組み合わせのアンビバレンスな表現が歌詞の中で必然的に意味が成立するようになっているのは流石詩人藤原だと思った。(ただの感想)

 

1番の歌詞でもあったが、

青に変わった信号

は最初聴いた時は以前髪の色を青に染めていたメンバーの事かと思ってしまった。

それは違うかもしれないので捉えるとするならば人それぞれが何かを受け入れる、”肯定する”という意味かもしれない。

たびたびこういう事を音楽と重ねすぎて純粋な音楽を楽しめているのかと疑問に思ってしまうが、現在の社会状況を苦しいながらも、認めて、1番の歌詞の 

自分にしか出来ない事ってなんだろう

と、前を向いていこうとする姿勢と近い意味がある。

 

最後の歌詞には、

混ざって避け合って行き交って

迷路みたいな交差点 大丈夫 渡れるよ

と複雑な気持ちに背中を押してくれて、

誰も知らない命の騒めき

に続く1番のサビの最後と同様の、

どこにいるんだよ ここにいたんだよ 

ちゃんと ずっと ちゃんと ずっと

がとにかく知らない存在を認識しようとしている力が込められている。

過去には〈そこに君がいなかったこと そこに僕がいなかったこと〉〈一人減った未来を 一人多かった過去を〉と主観的というよりそっと1歩引いた感じだったが、距離の近い主観的な歌詞に変化している。

それを生々しく感じ過ぎちゃうのはちょっと音楽を聴き続けるのには恐い気がするので言えるのはこのくらいです。

やっぱバンプが好きだな。

 

Flare

Flare

  • provided courtesy of iTunes

 

最後に。

BUMP OF CHICKEN、結成25周年おめでとう。

BUMP OF CHICKENの一番新しい音、言葉、”大丈夫”から新しい勇気をちゃんと受け取ったよ。ありがとう。

これからもよろしく。

 

【レビュー・考察】YOASOBI 1st EP『THE BOOK』を逆から聴いてみた。

Epilogue(エピローグ)意味:終幕

Prologue(プロローグ)意味:序幕

 

『YOASOBI』を通して最後まで聴くと何点か「?」と思うような点があったが、どれも個性的な楽曲でありながらもEP『THE BOOK』としてパッケージしても、インストを抜いて7曲、タイアップもありながらこのEPの為に作られたような個性豊かながら繋がった表現がされた楽曲達だった。

作品への反応に興味が沸きツイッター上での反応を見ていて興味深いものを見つけたので、収録されている楽曲を一曲目から最後まで聴いた後、曲順を逆にして聴いてみた。その曲順で歌詞に注目し、”物語"としてとらえた上で感想、考察を書いていきたいと思う。

 

Prologue

Prologue

  • YOASOBI
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

インスト曲『Prologue』で始まる。序章を意味し、わずかに喧騒のざわめきが聞こえてくると力強いピアノが進行して楽し気な物語が始まるような曲調だ。

 

夜に駆ける

夜に駆ける

  • YOASOBI
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

2020年に最も再生された楽曲。

この楽曲の歌詞は主人公が共に歩んでいく仲に意識が向いていき、そこで出会う相手の表情に様々な感情を抱いたりぶつかりながらお互いの気持ちに気付いていきそして信じて共に歩んでいこうと、二人で夜に駆けだしていくという物語。友情や恋愛に置き換えられる青春のような甘酸っぱさも感じるドラマチックな楽曲。この主人公とこの相手との出会いからこの物語は始まる。

 

ハルカ

ハルカ

  • YOASOBI
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

そして、次の楽曲では物語は経過し、〈ふりかえれば数え切れない思い出があふれ出してくる〉という回想する描写がある。また、〈前を向いて歩いてそうやって大人になってく〉と『夜に駆ける』とは対照的に俯瞰的な表現があり、成長したように感じる。

しかし、歌詞を見てみると、『夜に駆ける』での一人称の表記が”僕”だったが、『ハルカ』だと”ボク”に変わっていて、『夜に駆ける』の主人公ではなく、共に歩んでいこうとする相手の視点のようにも捉えられ、〈よふけのの祈り いつでも君とともに歩いてきたキセキ/離れた街にも連れ出してくれたね〉という歌詞も共通するような言葉がありアンサーソングのようなものにも思える。

 

群青

群青

  • YOASOBI
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

4曲目では夢を見ている思春期のような強い意志と意地を感じる表現がされ、新しく自分の道へと進もうとする決意が歌われている。視点は第三者から見た『夜に駆ける』の主人公とここでは捉えて話を進めたいと思う。

 

たぶん

たぶん

  • YOASOBI
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

『たぶん』では一人称は”僕”に移り、やはり『夜に駆ける』の主人公と捉えられる。

この楽曲では二人は別れ、主人公が〈悪いのは誰だ わかんないよ/二人で過ごした日々の当たり前がまだ残っている〉と二人で過ごした日々に思いふけている。失恋楽曲だ。

曲調も中でもゆったりとして、どこか遠い気持ちになっている。

 

あの夢をなぞって

あの夢をなぞって

  • YOASOBI
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

『たぶん』で別れた二人、主人公の思い出に残る、〈音の無い二人だけの世界で 聞こえた言葉は「好きだよ」〉から〈どうやったって 忘れられない君の言葉/君からの言葉 あの未来で待っているよ〉と二人にまだ期待するような心が歌われている。

 

ハルジオン

ハルジオン

  • YOASOBI
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

他の楽曲とは違い、大人びた口調に変わり、一人称は”私”、二人称には”あなた”と使われている。

『あの夢をなぞって』で歌われている〈「好きだよ」〉を『ハルジオン』では〈あなたが好きだと言ってくれた私〉と歌っていて、どの曲とも違い、大幅に成長した性格に変わっている。

曲の終わりには〈戻れない日々の続きを歩いていくんだ/あの日の二人に手を振れば 確かに動き出した未来へ〉と『群青』とはまた違い、主人公が前向きに次の未来を描きだそうとする景色が浮かぶ。

 

アンコール

アンコール

  • YOASOBI
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

全ての楽曲の物語をまとめるようなエンディングテーマとも捉えられる。

〈君にはもう会えないんだって/その時まで何度でもずっと好きな音を鳴らそう/ここは夜のない世界/そんな日にあなたに出会った/そしてまたひとり/あの日々をただ思い返す/忘れられないメロディーも今日でさよなら〉

回想し、そして決別するように願う言葉に、

冒頭でも繰り返していた〈明日世界は終わるんだって〉を最後にも繰り返し、〈もしも世界が終わらなくって〉と〈明日がやって来たなら、ねえ、その時は二人一緒に なんて〉と、やはり未練があるような言葉を残し曲は終わる。

 

Epilogue

Epilogue

  • YOASOBI
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

『Prologue』同様にインストで、ピアノの静かに物語の終わりを告げるような、けれどまだ続きがあるような明るいメロディだ。

 

そして、この楽曲が流れた後に、正式な『THE BOOK』の『Epilogue』から始まる曲順で聴くと、主人公が新たな人生を歩んでいき、まさに”アンコール”を始め、逆の曲順だと物語は別れるような展開を見せたが、新たな出会いと希望のある展開で進んでいき、まるで違ったストーリーを見せて二通りの面白い性格を見せてくれた。そしてやっと一曲目が『アンコール』が配置されているのかという事に納得できる。

 

簡単な考察をしてきたが、少しというかかなり強引な物語の繋げ合わせ方をしたと思っている。しかし、どの楽曲も世界観、主人公の表情には共通する点があり計7曲は一つの物語、短編小説、それぞれ同じ主人公、またもう一人の相棒視点のある物語に思えて面白かったし、一つの恋愛長編小説を読んだ気持ちになった。曲順を逆にした30分に続けて改めて本来の一曲目から聴いて60分の物語も体験してみて欲しい。

 

 余談

(本編読んだら他の情報興味なければ読まなくても良いです。)

実際、小説投稿サイトの作品と、『ハルカ』では鈴木おさむが書いた小説を原作に楽曲を制作しているようだ。

 

物語の構成として、似た表現する小説家、伊坂幸太郎作品、

フィッシュストーリー

フィッシュストーリー

 

 

EPだが、コンセプト作品としては米津玄師の1stアルバム『diorama』にも似ているとも感じた。

diorama

diorama

  • アーティスト:米津玄師
  • 発売日: 2017/07/05
  • メディア: CD
 

 

また、歌詞の名詞、主語の使いまわしにおいては物語の断片をなぞるような歌詞がスピッツの表現とも近いものを感じた。

CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection(通常盤)

CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection(通常盤)

  • アーティスト:スピッツ
  • 発売日: 2017/07/05
  • メディア: CD
 

 

そんなところ。