【第1回】物語は変わり地続きのセカイに鳴り響く~ロックは死んだについて~
※ ※ ※ ※ ※
某日。都内のとある一角のテレビの収録スタジオにて一つのテーマについての議論が広げられようとしていた――
ースタジオ-LIVE-
S川「はい~始まりました! 本日、MCを担当させていただきます、わたくしほとけさ…。失礼しました! S川です。本日はロックは死んだをテーマに音楽と関りの多い方々を交え議論していきたいと思います。早速ですが、本日の議論をして頂くそのゲストを紹介します! 40年前お茶の間で大人気だったロックバンドのボーカルを担当し、女優のK雪さんと結婚してから現在は業界から引退し、都内でバーを営んでいる元ロックバンドボーカルのM友さん!」
M友「……。」
S川「……はい。続きまして! 人気ロックバンドのボーカルを務めるT島さん!」
T島「よろしくっす!」
S川「ボカロPと音楽ユニットの作詞、作曲、コンポーザーも務めるB山さん!」
B山「おねがいしまーす」
S川「男女混成のアイドルグループのリーダーも務めるA辺さん!」
A辺「お願いします❤」
S川「芸人のH吉さん!」
H吉「ちょっ俺だけさらっとしてる! …あ、よろしくお願いしますっ」
S川「最後に様々なドラマ、映画に引っ張りだこ! 男の子だけど女の子役も演じ切る100年に一度の天才子役と名高いR波くん!」
R波「よろしくおねがいします!」
S川「それでは本日は”ロックが死んだ”か否かについてこの5名に議論して貰いたいと思います! 早速ですが、40年前にロックバンドのボーカルを務めていたM友さん! M友さんから見て今の音楽シーンを見てロックは死んだと思いますか?」
M友「まずキミ、40年前とか言うのやめてくれる?」
S川「あ、はい。失礼しました…」
M友「まあ、そうだね。あんまり今の若い子たちが聴いてる音楽を耳にする限り、ボクが現役の時、聴いていたロックみたいなのは見かけなくなっちゃったよね。」
S川「と言いますと…」
M友「昔はもっと貪欲で攻撃的でかっこよかった。まあ、例外はいるけど。今の子たちはエリート気取っちゃっていてなんだかそういうのって姿勢が違うなって思うな。熱を感じない。」
S川「なるほど。ありがとうございます。次にT島さんはどう思いますか?」
T島「オレはもちろん! 死んでない派です! M友さんが言う攻撃的バンドはいなくなったわけではありません。チャートには入っているし、みんなカッコいいロックやってますよ。確かに曲によってはボーカルばっかり目立ち過ぎた構成の楽曲が多いかもしれませんけど」
S川「ありがとうございます。死んでない派という理由をもう少し伺っても良いですか?」
T島「減ったというだけで実際、日本では毎年ロックバンドの出演しているフェスは開催し続けてるし、メディアにも出てる、オレだってこうして。チャートに入っているのを基準にロックは死んだっていうのもこちらとして気分悪いし、実際、名前を出すのもおこがましいですが、Official髭男dismとか『Pretender』が30週以上チャート1位で、それをKing Gnuの『白日』が1位になって止めてるんですよね。ロックバンドが独走してるとしか言いようがないですよね(笑)」
Official髭男dism - Pretender[Official Video]
S川「他のロックバンドに関してはどうですか?」
T島「そうですね、SPYAIRとか、[Alexandros]とかザ・ロックバンドって感じで歌唱力も抜群。タイプは違いますけど直近だとマカロニえんぴつは、ヒゲダンみたいに女子高生にハマる歌詞がやっぱり人気ですよね! ボーカルが女性でずっと真夜中でいいのに。も抗おうとする歌詞がロックです」
S川「ありがとうございます。B山さんはどうでしょうか?」
B山「あ? あーはい。…そうですね。なんといいますか、ロックが減ったというよりも、変化した、また表現の一つになってしまったみたいなところはありますよね。僕自身、ロックに影響を受けて楽器は最低限出来るけど打ち込みの方が早いのでそっちにしているだけで、その打ち込みで作られる音楽が歴史の言うロックとは変わっちゃったと言わせてるのかなあって思いますね。生々しさみたいな? 実際、僕のユニットの曲は確かにボーカルの歌声ありきですけどロックの系譜をなぞっていますので」
S川「なるほど。変化、表現の一つと言いますと例えばどういう事でしょうか?」
B山「……今だと一部のアイドルがポップミュージックとしてだけでなく、ロックの要素、メタル、パンク、ラウドってロックのジャンルを取り込んでそれぞれグループの表現として取り込んでいて、バンドじゃないとダメみたいなところが無くて、アルバムには色んなジャンルを入れた上でロックはやっぱり入ってますしね。グループによってロック曲の人気の比率としては正直微妙なのかな。分かりませんけど」
S川「アイドルグループのリーダーを務めるA辺さんはどうですか?」
A辺「あ! はーい♪ ロックって~魂だと思います! それが無くならなければロックは不滅だと思います! ロックの定義? って言われても正直良く分からないんですけどメンバーの男の子が言ってました💓」
S川「ロックって言うと確かに”魂だ”って昔から言われてますよね。何にも考えてない感じがしてニュアンスはなんかわかるというか(笑)」
T島「……」
A辺「私は良く分かりませんけどロック? 生きてる派で~すっ♪」
M友「なんでこんな話にならねえヤツ呼んだのか聞きたいんだけど。アメリカとかだと当時ロックは、政治行動や、青少年の反乱とかいう社会的態度の意味があったんだよ。ちょっと音楽が好きなやつが軽々しくまとめられちゃ困るね。」
A辺「なにあのおっさ――」
H吉「ちょっちょっ! ケンカはやめましょっ、始まったばっかりなのに(苦笑) ぼく、僕はロックは生きてると思いますよ! 最近のロックバンドでも、GEZANとか、突然少年、あと…羊文学! どれもロックですよね!」
GEZAN - 「赤曜日」「東京」(FUJI ROCK 19)
突然少年 【火ヲ灯ス / Live at WALK INN FES!2019 】
羊文学「ghost」Official Music Video
S川「ありがとうございます…。ありがとうございます! えー気を取り直して、次、R波くん! ロックは…分かる?」
R波「ごめんなさい…さっきからきいてたんですけど…ろっく? ってなんですか?」
S川「え!? 知らない? そっか…。さっきあの髪の長いお兄さん、T島さんが話してたKing Gnuとかヒゲダンって分かる?」
R波「わからないけど、おんがくのひとたちですか? なまえはしってるからおんがくはきいたことはあるとおもう……」
S川「あ! 以前にR波くんが出演していたあの作品の主題歌、思い出せるかな? あれがロックだと思ってもらえるといいな」
R波「あ! わかりました!じゃあ、ろっく? っていきてるんじゃないですか? うたってるひとてれびにもでてるし…」
S川「流石R川くん理解が早くて助かる! …そうすると…今のところ生きてる派が……5対4……(ちょっとH吉さん、番組のバランス的にあれなので、ロックは死んだ派に…お願い、お願いします……!!)」
H吉「(マジか…)ぼく! 僕はやっぱりロックは死んだ派でお願いします!」
S川「お! どうしたんですか急に死んだ派なんですか?」
H吉「…。いや、まあ、ジョン・レノンがね、ロックは死んでしまったって言ってるんですよね。もうそれ思い出したらそうだなと思って。ロックは死んでます!」
INSTANT KARMA! (WE ALL SHINE ON). (Ultimate Mix, 2020) - Lennon/Ono with The Plastic Ono Band
S川「という事で現在は死んだ派が2名、生きてる派が3名です。あ、ちょっと待ってくださいA辺さん! どこ行くんですか!」
A辺「だってさっきなんか変なおっさんに絡まれたからすげー気分悪いんだもん。ロックって知らないって正直に答えただけで、あそこまで言います? ふつう」
S川「おっさ……、いやいや、ね、それはあれですよ、ね、ほら、これから盛り上がってくるんですから、もう少し、いて欲しいなー。はは、あ、そうだ、わたくしA辺さんのファンなんですよ! 後でサイン、貰っても良いですか?」
A辺「え! そうだったの!? 早く言って下さいよーS川さん♪ 後で上げますね♪」
S川「やった! ありがとうございます! 楽しみだなー……。A辺さんが席に戻ってくれたところで、えー、失礼しました。気を取り直して、続きまして、今回の”ロックは死んだ”についてなぜ今回このように取り上げているのかと言いますと、一部のロック好きから、”ロックは死んでない”という主張が広がってるんですよね。で、今回その件に関して巷の方々はどう思っているのかなと思ってインタビューしてきましたのでVTRご覧いただきたいと思います。VTR、お願いします……!」
ー映像
――ロックは死んだと思いますか?
「ロックだ? オレが昨日殺しちまったよ。ワンルームのベッドの下で不貞寝してたところを――」
ースタジオ
S川「大変失礼致しました。こちらの手違いで本来流す予定ではなかった映像を流してしまいました。次からは本来流す予定だった正式な映像の方を流します。……お願いします」
ー映像
――ロックは死んだと思いますか?
「ロックは生きてるよ。昨日もライブに行ったよ。やっぱ良いよね、ライブ。生で見るの。ロックは生じゃねーと成立しねえよな」
「また"ロックは死んだ"ってやってるの(笑)? 第何次”ロックは死んだ”戦争ですか(笑)」
「あいつが言ってるんだよ。誰だったっけな、”ロックマーケットは拡大してる。””ロックがしまいなんて、そんな事はない”ってよお」
「パンクやヒップホップの話持ち出してくる人がいるんだけどね、こっちはロックの話してるんだよね」
「新譜で環境活動家、グレタトゥーンべリのメッセージを入れたThe 1975。ラップやゴスペル、アンビエントミュージックを取り入れた音楽性。ロックナンバーなPeopleだけに限らず、彼らの音楽の姿勢は紛れもないロックだ。今のロックなんだ」
The 1975 - If You’re Too Shy (Let Me Know)
「抵抗し続けて、聞こえてない奴らに聴こえるまで社会も時代もかたどって歌い続けるamazarashiが日本のかけがえない、今の正真正銘のロックだよ」
amazarashi 『令和二年』“A.D. 2020” Music Video | Giant Buddha Projection Mapping
「ラップもポップもパンクもファンクもメタルもぱるるもみないっしょ! イェ! ロックはオレの中に深く根付いてく 偉大な後世が受け継いでく フォ! フォ! 死んだ言うヤツタチ悪いオレらにゃ関係ない! オレらロックでHigh! 一般人と比べて脳は倍! 音楽大好きオレらみんなダチー! イエーイ! イエーイ!! ピース! ピース!✌✌」
「同世代や、上の世代がやってるから良いと思えてたんだよね。若い子がやってるの見ると全然共感、心が動かないんだよね。だから知るかウェイブスぅ~ってかんじ」
「ロックは死んだもあんなのロックじゃないもサブスクで音楽はダメになったもあいつはパクリだなも全部言ってるてめえの愛の問題だなも? 一緒にすんなだなも。ん?」
「昔の人が言っている事を持ち出して、死んでる、死んでないって話する人時々いるけど、イアンもカートも昔の人よ。持ち出したって意味ない。今のロックの話をしてるんだよね、うん」
「ロックは世代交代しましたよ」
「サブスクが出てきたせいですよ! ロックだけじゃなくて音楽事態人間の愛が薄れていってるんですよ。あいつさえ生まれなければ…」
「え? でもサブスクのおかげで違法アップロードしてる音楽アプリとか、海賊盤には対抗出来てるんじゃないの? 手軽で興味が向かなかった音楽に出会えるきっかけになってワタシはサブスク好きなんだけどな」
「そもそも生物じゃないんですから死んでるか否かなんて話しようとしてるんですから不毛な議論じゃないですかね」
「言ってるのはおっさんでしょ? そりゃもう若者じゃないからね。ロックはおっさんのためじゃないから」
「その言葉このご時世センシティブな表現じゃないですか?」
「ぼ、ぼくはアイドルしか聴きませんので、えぇ」
「私はクラシックしか聴かないんです。ごめんなさい(-_-;)」
「何それ犬の名前?(笑) オレは犬もペットすらも飼ってないよ?(笑)」
「あ! ワタシ家のカギ閉め忘れたかも!」
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「紅白で『うちで踊ろう』歌った星野源が日本で一番ロックっしょっ」
【NHK紅白】星野源『うちで踊ろう(大晦日)』フル・バージョン
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「ロールはどうした」
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ースタジオ
S川「以上、VTRを見ていただきましたけど、実際にロックバンドをやってらっしゃるT島さんは今の意見を聞いてどう思いますか?」
T島「そうですね。オレたちは今のロックの話をしてるので、昔の方々を持ち出すのは違うと思いますし、ジャンルの話も別だと思いますね。確かに系譜はなぞっているとしてもロックの話をしてるんです。あとさっきのラップですか? あれ。オモシロかったですね」
S川「R波くんは今のVTRから何か思った事ある?」
R波「ん~。しんじてるひとにはいる。しんじてないひとにはいないってすこしまえにお母さんからおそわったので、しんじてるひとにはろっく? はいきてるとおもいます」
S川「A辺さんは……いかがでしょうか?」
A辺「さっきアイドルが好きって言ってた人私のグループのライブグッズ着てた!!」
S川「ああ…あはは……」
S川「M友さんは……」
M友「さっきからそいつはなんだ、ちゃんと話聞いてるのか? ロックのロの字もしらねえなら――」
H吉「M友さんちょっと落ち着いてくださいっ。僕仲間ですからね。やっぱり僕はジョンレノンの言っていた…いや、ジョンレノン様がおっしゃっていた事が正しいと思いますね。ロックは死んだんです。一部で言ってる人がいるみたいですけど、ロックは死んだって言ってるって指さしてるおじさんってジョンレノンの事ですかね? それはジョンレノンに限らず今まで言ってきた歴代のロックミュージシャンに失礼じゃないですか?」
T島「だから過去のミュージシャンの話じゃないですか…。だったら、デヴィッド・ボウイは”ロックは生きてるアート、常に再構築して変化を探ってる”って言ってるんですよ」
David Bowie - Suffragette city
H吉「いや、さっき昔の人の意見は別って言っていたのにこの流れで持ち出しちゃ意味ないじゃないですか…どっちかにしましょうよ……(苦笑)」
M友「ロックは死んだよ。デヴィッド・ボウイが言ったかどうかじゃなくてもうロックは死んだよ。”宗教みたいになった。コマーシャルになり過ぎた”ってさっきからそこの兄ちゃんが言ってるジョンレノンが言ってるんだよ。今のロックの扱われ方はロックじゃないね。ただのソレ……大衆に合わせた”創作”だよ。」
H吉「で、ですよね! B山さん!!」
T島「B山さんとT島さん……ジョンレノンが言ってるのは元祖ロックであって、今のロックの話をしてるんですよ! あなたたちはどの時代を生きてるんですか!?」
H吉(もうT島さんに説得力ない…)
A辺「あ"ーマージキブンワルい。さっきからロックロックって口の方のロックしたら? やだー! あたし上手い♪ ……てかさぁ、さっきから言ってる話って自分の知ってるそのロック? の知識披露して自慢話聴いているみたいでなんかきもいっていうかー、草? 私ちょーどーでもいーっていうか? てか最初に死んだって言いだした人って誰なの? それ言い出した人呼ばないと結論もクソもないんじゃない? 返事が無いんだったら」
S川「確かにそれは言えてるかもしれないですね。それより、A辺さん口調…」
T島「それもそうですよ、言った人自身が、納得しないとこっちが納得できませんよ!」
M友「ロックも知らねーくせに…だから女は…。」
A辺「はあ!? 今あのおっさんなんて言いました? てかおっさん、日本のロック? 海外のロックどっちの話? どっちに生きてんの? ロックが死んだとか、昔ロックミュージシャンやってたってだけで偉そうに今のは死んでるとかそれってただあんたのロックに対しての愛が死んだだけじゃないの? マジウケるんですけど。自覚出来ないってもう病k――」
H吉「はああああああもーーーやめろって!!!うるせぇってケンカすんな生放送だぞ!!!!」
S川「H吉さんありがとうございます……。あっH吉さん! 席には戻って下さい! A辺さんはそんなにH吉さんのこと睨まないで(笑) ね! 笑顔笑顔って…まあ、ちょっとM友さんもあまり過激な事は言い過ぎないようにお願いします…」
S川「……えー…なるほど、もう時間という事みたいなので、それでは、ブイの内容と、皆さんのお話を参考にわたくしの意見をと合わせてまとめさせていただきますね」
S川「正直言いますと、わたくしロックの歴史についてあまり良く分かってないんですね。その上で別の角度から。
昔は、”死ぬ”っていう定義自体、人に対しても曖昧だったんですよね。勿論、日本では火葬をしてしまえば跡形もなくなるわけですから”死んだ”と言えるんですけど、死んだと言っても心臓や脳が死んだ後でも、髪の毛が伸びた。爪が伸びた。それを”死んだ”という表現することに対して批判的な意見が沢山あったんです。
それと似てますよね。
ロックが死んだ。生きている。チャートにはちゃんとロックっていうジャンルは入っているという事実はあるし、ロックは死んだと言っている人は、ロックへの愛、もしくわ、M友さんの言う、当時のような、好きだったロックが無くなったからそれが無くなったという主張でしかないと思うんですよね。で、その上で毎度毎度議論してるのは、ブイで言ってる方もいたと思いましたが、とても不毛だという事で今日は締めたいと思います!!」
S川「やはり限られた時間では説明するのは難しいみたいですね。えー短いお時間でしたが、ご視聴ありがとうございました!!! また来週!!!」
――数日後
その番組の収録直後、M友は番組内にて、A辺の言葉に心が動いたのか、音楽活動を30年ぶりに再開しようとしていた。しかし、SNSにて番組内の発言について様々な角度から炎上をしている事を知り、活動は断念せざる終えなくなった。
また、それからまた数日後には、某週刊誌の取材を受けたM友の娘が番組内での父の発言について「もう年齢も年齢なので」と答え、M友が暴言を吐いたA辺には謝罪し、また、相手からも言われたという事もありお互い買い言葉に売り言葉で行き過ぎた発言をしたという謝罪があったという。M友自身は現在は大人しくバーを畳み、それ以降については公にされていない――
ロックバンドのT島はSNSにて『今の話してるのになんで活動休止中のバンドの話してんの?』というのがちらほらあったが自身は相手にしていないようで、それよりH吉やM友に言われた事に対し、自分の”ロック”について考え直す機会になった。ともっとロックについて探求するという理由で現在は活動休止している。その発表直前、本人のSNSにて『勘のいい女は嫌いだ』と投稿され、その後一切更新されていない。それを読んだファンの間ではA辺の発言に注目する者がいたとか――
A辺はというと、放送直後、炎上を予想したのかすぐさまM友に老害扱いしようとした件について謝罪をしたのち、炎上は止まずSNSにてM友に受けた発言同様の蔑視、及び誹謗中傷を受け続け、アイドル活動を続ける勇気が持てなくなり、グループ卒業の発表。そして、事務所に隠し交際していたグループメンバーであり音楽に詳しく、優しい男性メンバーN田と翌年に結婚したことを男子メンバーN田のブログとグループのHPから報告がされた。SNSにて結婚したことについて一部のファンからは非難の言葉があったようだが、『私はれっきとした人間なので結婚する権利があります。これ以上続くようでしたら裁判も検討してます』という投稿があり、それ以降SNSは更新されていない。
SNSにはA辺の結婚報告を知り
『ファンだけど別に発狂してないよ もともと「結婚したい」「子供が欲しい」ってよく言ってたし、A辺たんに振り回されるのは慣れてるし。こんなA辺たんだけど好きなんだからしょうがない。型にはまらないのがA辺たんだしね。プライベートはN田が支えればいい。私たちはA辺たんの音楽=魂を支えるから。その魂は私達から子供へ、子供から孫へと受け継がれていくし、そうやっていつかA辺たんのDNAと混ざり合うから。それがファンとA辺たんとのEternalだし。』*1
というファンのコメントがあったとか。
現在は専業主婦なのか、夫婦円満であるか否かについてこちらが首を突っ込むことではないだろう――
芸人のH吉は、『なんでH吉出てんの?』『お前がミュージシャンの名前出す方が失礼www』『流行りに乗って大声出しただけで草』『(番組一部動画)草』と様々な角度からネタにされていたが炎上という程ではなかった。最近はTVのひな壇の仕事が増えたとか――
ボカロP、作詞、作曲、編曲家、音楽プロデューサーのB山は、一部の業界人から自身の楽曲の音圧がうんたらと悪評ともとれる評価を受け、新しく買い替えた機材で表現を追求し今日も音楽を作ってはヒットを更新してるとか――
天才子役のR波くんはというと、母親みたいな人になりたいと抱いた後、性転換をし、更に母親の誘いにより出家がうんたらかんたら――――
番組はというと番組のクレームの電話が何件か相次いだが、SNSの普及により例年と比べクレームが減り今回についても少なかったらしい。しかし、一方でSNSではやはり番組のアカウントへ『このご時世そのテーマ、発言は不謹慎だろ』『オワコンなゲスト(笑)』『企画が死んでる(笑)』『(番組一部画像×4)草』と散々な事を言われていた。そんなことはまったく相手にせず、初の視聴率二桁を更新し、番組は30分から45分に変更が検討されているとか――
そして、S川――わたくしはというと音楽関係の番組に呼ばれるようになった。しかし、SNSではあの番組依頼評判は悪くなり、『なんでまたお前出てるの?』とわたくしのSNSアカウントに送り付けられることもほぼ毎日。まあ、正直仕事なので続けますけど。表に出る限り覚悟は出来てます。勿論、それがわたくし意外の業界人みんなが耐えられるというわけではありませんけど――
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――1年後
ーとある一軒のお茶の間
「あなた、この番組の企画、去年にもやってなかった?」――――
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ーこの世じゃないどこか
H「Hey! オマエこんなところで何やってるんだ!?」
L「二ホンのTVを見てるんだ」
H「なんでまた二ホン?」
L「まあ、見てみろって。こいつらオレらがやってたRockも知らねえでよくこんな語れるよな」
H「お前は相変わらず辛口だな!」
L「Rock is Dead。少なくともオレの中では。でも、あいつらの抵抗はRockかもしれねえ。まあ、勘違いして周りに迷惑をかけてRockを汚されるのはそれはそれでちげえよなとは思うが。あいかわらず馬鹿ばっかだぜ。……うん。でも、あいつらの言うRockをで聴けないのは少し残念かもしれねえな」
H「HAHAHA!! まあ、お前殺されちまったから――――
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――
fin
……?
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は(一部を除き)架空であり、実在のものとは関係ありません。また、物語中のロックについての様々な見解については勿論ロックファンの総意でなければ、発言した人間がロックファンの代表という訳ではないという事、ご理解の程よろしくお願い申し上げます。
結局この物語は何が言いたかったの? って? 結論なんてないよ、お前らはいつも個人で決めてそれで終わり。だろ?
※ ※ ※ ※ ※
あとがき
読みにくい文章を最後まで読んでいただきありがとうございました。【第■回】とタイトルにありますが皆様のお望み通り続編を書く予定はありません。
all you need is love.
全部”愛”だなんだってまとめるやつキライって言われるまでがオチ