みゆな・AmPm『プリズム』個人的・歌詞解釈レビュー
4月8日にみゆなという若手女性シンガーの新譜と、
同時にAmPm(アムパム)という覆面音楽ユニットから新譜が出た。
まあ、この2組がコラボした楽曲が1曲出ただけなんですけども。
とても素晴らしい楽曲だから『プリズム』というこの楽曲を聴いて欲しい。
AmPm / プリズム feat. みゆな (Lyric Video) -TVアニメ「フルーツバスケット」2nd season オープニングテーマ -
アニメ、フルーツバスケット2ndシーズンのオープニングで聴いたことのある人も多いと思う。
まず、みゆなさんというシンガーソングライターとは、
代表曲 みゆな - 缶ビール【Official Music Video】
中学時代に出た歌のオーディションで全国大会へいき、音楽関係者の目に留まり、
椎名林檎の『丸の内サディスティック』の楽曲をアレンジしオリジナルに作り上げた『ふわふわ』という楽曲が評価され、その後アニメタイアップなどの楽曲提供がメジャーデビュー前にしては話が進み見事なデビューを飾った現在現役高校生の17歳。現役高校生!?17歳!?(…え?)
母親の影響で美空ひばりさん、玉置浩二、前述の椎名林檎さんや、そしてONE OK ROCKでロックを聴くようになるという音楽の生い立ちがあり、さらに、彼女の特徴的で魅力の一つ、ハスキーボイスが椎名林檎にも近いが彼女なりの純な声質があり、唯一無二で、歌声にはダークな感情表現が10代とは思えない魅力があり、恐ろしく、かっこいい。要注目アーティストの一人だ。あと歌詞とても等身大に似合わず、しかし、彼女にしか歌えないほどに的を射た歌詞で素晴らしいから要注目である。
また、一方、AmPmというこの覆面ユニットとは、
代表曲 Best Part of Us / AmPm feat. Michael Kaneko
不思議の国のアリスに出てくるようなウサギの覆面をかぶった『右』と『左』の2人で出来た日本人の『音楽プロデューサーユニット』、とも呼ぼうか。
インストや海外アーティスト、日本人アーティストのゲストボーカルを招き、楽曲を作っている。
彼らが話題になったのはサブスクの『Spotify』で無名ながら2017年に発表した『Best Part Of Us』で世界中で話題になり、一躍有名になったまさに現代的な売れ方をしたアーティストである。
日本人にも、ゲスの極み乙女の楽曲のリミックスや、平井堅さん等に楽曲提供を行っている。
本題
作詞:みゆな 作曲:AmPm
『プリズム』
”君の瞳は光輝いて
僕の瞳にそっと夢を見せてくれたんだ”
”思い出してほしい心が叫ぶときは。
もう一度あの空を見たい。”
夢を見させてくれた人が、何か落ち込んでいる状況が想像出来る。
誰にでもきっとあるだろう、明るい時。
それでも、人は落ち込んでいる時というのはわずかでもある。
もしかしたらずっと落ち込んでいるような性格の人もいると思う。
そういう人に対して、
”思い出してほしい(君の光り輝いていたひとみ(明るかった時))
心が叫ぶときは(辛い、悲しい、感情を投げ出したいという気持ちの時)
もう一度あの空を見たい(うずくまった心ではなかった明るかった頃の事を)”
Aメロの歌詞をBメロで綺麗に回収し、そしてサビに入る。
”自分に素直になれば良い
君がくれた夢を僕が叶えに旅に出るからさ 悲しまないで僕が守るから”
”自分に素直になれば良い
一人で雨に打たれないで僕が傘を差しだすから 悲しまないで僕が守るから”
この”自分に素直になれば良い”という歌詞を繰り返し出てくることにより、ちゃんと歌詞に思いがこもっているのが良く伝わってくる。
この曲はアニメのタイアップであるけど、かなりグッとくる歌詞で現実の自分に重ねて聴いたりすると悲しささえ得くれる楽曲になっている。
”君がくれた夢が僕が”
この夢というのは希望、明るい景色を指している。
それをくれた”君”へ恩返しに自分が努力するからというメッセージが込められていてこの優しさにすごくシビれる。
”一人で雨に打たれないで僕が傘を差しだすから”では、よくある比喩表現ではあるが、”雨”が”涙”、”傘”が手助けする”手、気持ち”という意味ととれる。
”悲しみが僕を嫌って”
”いつもより君の表情が泣いていた”
”君”救われるまでは自分が悲しんでいたのに、
今度は”君”の方が悲しんでいる。
”思い出して欲しい心が叫ぶときは
もう一度あの星を見たい”
一番と同じ歌詞だが、”思い出して欲しい”という歌詞がこうして繰り返されることにより、歌詞の意味のアクセントが強くなる。シンプルな歌詞だとつまらなさを感じてしまうが、メッセージとしての目的が具体的に統一されており、的確に歌詞の意味を”効かせ”に来ていてかなりぎゅっと心を掴まれる優しさがある。
”ゆるりゆらりゆるいゆられて彷徨い続けた先に見えた夢は”
”ふわりひらり空に舞う君の髪が靡いた”
”だから何も怖くないよ
隣を見れば僕がいるから
君は笑っていいんだよ
自分ばかりを責めないで上げて”
”自分に素直になればいい
悲しまないで僕が守るから
僕が傘を差し出すから
君の瞳は光り輝いて。”
1番で出てきた”光輝いて”という歌詞の意味が、
光輝いていたから”僕の瞳に夢を見せてくれたんだ”という言葉につながっているのに、
最後には、”光り輝いて”と祈りに意味が変わっている。
最後に、最初の”光輝いて”が同じ言葉で過去形に形を変えていてシンプルな歌詞がかなり深さがあり、みゆなさんの作詞能力に正直恐れを感じた。いわゆる伏線になっている。
もちろん、1番の時点でも過去形にしている表現で完結しているが、希望を見せてくれた。そして、最終的に同じ言葉でありながら”光り輝いて”欲しいという祈りに変化させており、正に詩人で、天才的だと思った。
勿論歌詞が良いが歌詞を引き立てて単体で聴きたくなるような編曲もいい。
そして、編曲、AmPmが施した音楽性の部分だが、
イントロから綺麗でインストで聴いていたいと思うくらいに綺麗。
ピアノの高い音の軽やかな音色は歌詞のテーマにそっていて雨を想起させる小さなリズムで冷たさを感じる。
そして人間の心情を表すかのようなシンセサイザーのゆったりと浮遊感のある音色が歌詞を引き立て寄り添っている。
AmPmは派手に変化しない曲が多く、シンプルな構成が多い。でも繰り返し流れるメロディには的確に別の音のメロディを加えて飽きさせず、かなり整頓されている楽曲ばかりであり、『プリズム』もそうなのだ。
音をたくさん加えがちなアーティストがいるが、最低限の音の情報量で軽快で聴きやすい。
そして『プリズム』の最後の終わり方がイントロと同じように軽やかなピアノの音色で終わり、ふっと終わることにより何気なく心残りのようなものを抱かせて全体を通して楽曲に癖になる。甘い食べ物を食べたときに若干口内に匂いが残ってまた食べたくなるあれと同じである。
今後、AmPmが日本での発信をどう活発に行っていくか分からないが、淡々と楽曲の政策をストイックにやっているようだから今後の活動にも期待があり、楽しみである。
あとがき
歌詞、メロディが見事に綺麗でテーマが固まっている楽曲であり素晴らしい楽曲であるというお話。
この楽曲の歌詞からはまるでみゆなさんが悲しいことは”言うな”、”聴くな”、”見るな”、(みゆな)とメッセージを心に抱いているのではないかと感じた。
それはきっと、優しさ。”僕が守るから”と。
あと、AmPmが今回の活動でもっと日本でも有名になると嬉しい。
落ち込んだ時、この楽曲を聴いて、勇気が出せる寄り添う楽曲になれれば良いなと思う。この歌を聴けば音楽という傘がきっと心の中で開いて雨宿りさせてくれることだろう。
後この記事のサムネ、正直怖い。